紳也特急 22

〜今月のテーマ『感染症との共生(ハンセン病編)』〜

●『どこかおかしい』
○『感染症との共生(ハンセン病編)』
●『ハンセン病訴訟』
○『まだまだ解明が進んでいない病気』
●『ハンセン病(癩、Leprosy)とは』
○『ハンセン病の南北問題』
●『ハンセン病の症状は』
○『ハンセン病と診断するには』
●『ハンセン病の予防接種?』
○『結局は感染症との共生が大事』

◆CAIより今月のコラム
「週末思想」

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●『どこかおかしい』
 「小4殺害に無罪」、「裁判官の買春はストレス」と報道されていますが、どこか世の中おかしくないですか? 殺害したかどうかがわからないのなら無罪もあるでしょう。しかし、殺害を認定して無罪は?? 裁判官が14歳の中学生を買春したのはストレスと保護しなければならない理屈はどこにあるのですか。買春の被害者である中学生の人権は??? 「どうして人を殺してはいけないのか」という投げかけが話題になりましたが、そのような投げかけが普通の質問として受け取られること自体がおかしくないですか???? だって人を殺すことは悪いことですよね。
 小泉首相や田中外相が驚異的な人気を得ている中で、政治家と行政マンの戦いが話題になっていますがこれも変ですよね????? 私を含めた行政マンは、国民が選んだ議員が作った法(政治家が作った方針)に沿って行政を進めるだけであって、決して自らが何かを決める立場にはありません。でも、官僚は自分達でいろんなことを決めています。それは政治家の問題でもあるのですが??????
 そんな中、ハンセン病訴訟で司法の判断に対して、(行政マンの反対を押し切って)政治判断を下した政治家小泉純一郎首相はごく常識的なことをしただけだと思います。マスコミからは行政マン(厚生労働省、法務省の役人)が控訴すべきと判断したことに対して批判がありましたがそれもおかしい。彼らは今の法(それがおかしいなら政治家が、国会が法改正をすればいい)の元で法に沿った解釈をしただけですよね。前置きはこれくらいにして。

今月のテーマは
○『感染症との共生(ハンセン病編)』

●『ハンセン病訴訟』
 2001年5月は熊本地裁のハンセン病訴訟判決に対して国が控訴を行わないことを小泉首相が判断したというニュースで(私を含めて)国中が適切な判断だったと喜んでいました。しかし、1909年にらい予防法が施行されてから1996年に廃止されるまで87年もかかったということ自体、他人事意識が蔓延している日本の実態を示しているのでしょう。今回の報道を機会に「ハンセン病って何?」、「治療に使う薬は?」、「感染力が弱いって言うけど本当に感染しないの?」、「万が一はないの?」とまるでエイズパニックの時のような質問が来たら自分はちゃんと答えられるのだろうかと考えてみました。答えは「No」だったので改めて勉強してみました。

○『まだまだ解明が進んでいない病気』
 今でも日本で年間5例前後の患者が出ているにもかかわらず、診断方法や治療について研究が進んでいないのが実状です。これは現在の蔓延地区が東南アジア、インド、アフリカ、中南米といった医療水準が先進諸国と比べ低いところに多いこと、先進諸国では実際にハンセン病と診断されても、治療によって以前のような後遺症を呈するほどにならず治ってしまうようになったことも原因なのでしょう。

●『ハンセン病(癩、Leprosy)とは』
 ハンセン病の原因はらい菌(Mycobacterium Leprae、Hansen菌、1874年にHansenが発見したのでこのように命名)と言って結核菌と同じ仲間です。病気の原因が菌ですから当然のことながら遺伝するということはありません。らい菌の感染経路は皮膚(の傷?)と上気道(のど)と言われていますが実際にはよくわかっていません。感染するのは乳幼児期だけですが、感染してもすぐに発病せず、潜伏期(6ヶ月から長い人だと20数年、タイプにもよりますが3〜10年が多いようです)があるため大人が感染するという誤解もありました。しかし、大人は抵抗力、免疫力があり感染しません。さらに、らい菌に感染している人すべてが他の人にらい菌を感染させるわけではありません。感染力がある人は「治療をしていない多菌型(WHO分類)」です。治療をしていれば感染させる可能性はゼロです。

○『ハンセン病の南北問題』
 ハンセン病の原因が明らかになっても、治療方法、すなわち、らい菌を押さえ込む薬が開発されるまでは病状が進行して様々な後遺症を生んでいました。しかし、治療薬(スルフォン剤:DDS)が1943年に開発されたことで治療が進むようになりました。ただ、他の菌やウイルスにもれず、1種類しか薬を使わなかった(使えなかった)ことでらい菌がDDSに対して耐性を獲得することが明らかになってきました。その後結核の治療にも使われるリファンピシンなども使われるようになり現在は多剤併用療法が主流になっています。(ただ、リファンピシンのような高価な薬はハンセン病蔓延地域では行き渡らないため、治療の分野でもHIV/AIDSと同じ南北問題が起こっています。)

●『ハンセン病の症状は』
 エイズパニックの時も「HIVに感染したかどうかを症状で判断したいので初期症状を教えてくれ」という問い合わせが殺到しました。今回はそのようなパニックはありませんが、日本にも新規のハンセン病患者の新規の報告例は年に5例前後あり、決して過去の病気ではありません。(ちなみに20年前の教科書には年間100人の新規患者と書かれていました。)
 症状は皮膚の症状と神経症状です。皮膚には斑、結節ができ、皮膚の色素が抜ける脱色が特徴的です。らい菌は神経組織に寄生するため知覚障害が起こり皮膚感覚が麻痺しやけどを負ったり、神経の障害が原因で骨や目に病気が出ることもあります。手足の障害が進むと手足の指や時には手足の切断ということも起こります。皮膚や神経が広い範囲で犯されると外観上後遺症が残る方もいます。今回、裁判や国に対して控訴しないことを求めた当事者の方々がテレビに出られたときも、その後遺症の程度にかなりの差があったことでおわかりいただけると思います。ただ、治療法が進歩した現代の日本においては今回カミングアウトされた当事者の方々のような重度の後遺症が残る可能性は少なくなっています。

○『ハンセン病と診断するには』
 ハンセン病と診断するには鼻汁や皮膚から直接らい菌を見つけ出すことが必要です。らい菌というのは実は未だに試験管などで増やす培養検査ができない菌のため、診断する医者がそれなりの勉強をしてきちんと診断しなければなりません。

●『ハンセン病の予防接種?』
 結核の予防接種としてBCGが広く行われていますが、BCGは小児の結核性髄膜炎に対しては一定の予防効果はあるものの、肺結核を予防する効果は疑問視されています。しかしハンセン病を予防する効果はあるようです。もしかしたら日本ではBCGの副産物としてらい菌に対する免疫力が高まり、日本での蔓延予防に役に立ったのかもしれません。この原理はらい菌が結核菌、BCG菌と親戚のようなものであったことで、この理論から近い将来ワクチンが開発されると期待されています。

○『結局は感染症との共生が大事』
 正直に言えば、今日まで私自身ハンセン病のことを学ぼうとしていなかったと反省しています。今回、様々な資料から情報をかき集めてこの原稿を書いてみたところ、その内容たるや、まるでHIV/AIDSの初期頃のような「らい菌は感染力が弱い」、「うつらない」ということしか書けておらず、それを読んだ人は「万が一にもそのような可能性がないとはいえない」とエイズパニックと同じ事態が生まれるような内容でした。
 結核菌、O157、HIV、そしてらい菌のいずれもが人類と共生するような仕組みを自ら作り上げてきました。菌やウイルスは決してなくなりません。ハンセン病には隔離政策の問題、感染経路についての無理解、等があったにもかかわらずそのことを教訓とせず、HIV/AIDSで同じような過ちが繰り返されました。感染症とどう共生するかという視点で考えると、ハンセン病はHIV/AIDSより生活習慣と関連しないという点では対応は簡単で、もっと早期に法改正を含めた適切な対応がとれたはずだと思いました。そのような病気であるにも関わらず、隔離という非人道的なことを私を含めた国民全体が押し付けていたことをあらためて反省しました。

◆CAI編集者より今月のコラム

「週末思想」

 毎年のことなのでいまさら驚きませんが、もう6月ですね。
今年もいつの間にか5ヶ月も消化しています。歳を重ねるごとに月日の流れを早く感じるもの。「どうも去年は1ヶ月少なかったような...。」そんな感じ。

小学3年生のときに、あと3年も学校があるのかと気づいたときには、3年という膨大な時間に憂鬱になったりもしました。週末のドリフを楽しむために、平日をなんとかすっ飛ばしたい。
そんな小学生が発見した「週末が早くやってくる方法」をみなさんにご紹介しましょう。

まず1週間の始まり、ブルーな月曜日です。雨なんか降っちゃったらもうサイアク。そんな時には明後日、水曜日のことを考えましょう。水曜日といえば1週間の真ん中です。ここでは大胆な四捨五入が必要。つまり、「水曜日はプチ週末」。本当の週末、土日の予定は水曜日ごろから考え始める必要があるでしょう。そんな水曜日の訪れを楽しみに過ごせば、ブルーマンデーのダメージは和らぎます。

この発見は人生の膨大な時間に直面した小学生にとって、衝撃的でした。
「明後日の明後日は金曜日。1週間って早えー。」これが大事。

さて火曜日。この調子でいくと、「明後日の明後日は土曜日!」ということになりますが、その前に訪れる「プチ週末、水曜日」をお楽しみに。
テレビを目標にするのも効果的。ご褒美、火曜ワイドスペシャルは「ドリフ大爆笑」です。
プチ週末の水曜日。ここまでくれば説明はいりませんよね。週末へ向けてシフトしていきましょう。
デパートにお勤めならば水曜はホントにお休み、という方もいらっしゃいますよね。プチ週末でリフレッシュした翌日の木曜日。なんと明日は金曜日!いよいよ週末も具体的に見えて来たでしょう。ここでポイントなのは、夜は早めに寝ること。これは明日が少しでも早くやってくるための工夫です。寝ている間はそれが長かろうが短かろうが、わかりゃしません。目覚めればそこはもう明日です。いよいよ待望の週末、金曜日。ちょっと前ならハナキンでした。世間も週末ムードですからいうことありませんね。
惰性ってよくないと思いません?コントロールを欠いてる感じが。
“余力”でいきましょう。余力でリラックスした金曜日をお過ごしください。

さて、いかが?
1年間に週末は52回しかないこと、ご存じでした?
これはジョーカーを抜いたトランプの枚数と同じです。
もう手札は半分くらいですよね。
せめて気分だけでも、“毎日週末”にしてみませんか?

                             M・M (♂)