紳也特急 247

…………………………………………………………………………
■■■■■■■■■■  紳也特急 vol,247  ■■■■■■■■■
全国で年間200回以上の講演、HIV/AIDSや泌尿器科の診療、HPからの相談を精力的に行う岩室紳也医師の思いを込めたメールニュース! 性やエイズ教育にとどまらない社会が直面する課題を専門家の立場から鋭く解説。
Shinya Express (毎月1日発行) 
…………………………………………………………………………
バックナンバーはこちらから
…………………………………………………………………………
~今月のテーマ『いまからできる新型コロナウィルス対策』~

●『信じられない対応』
○『資格と専門と知識は一致しない』
●『手洗い』
○『マスクはしない』
●『入浴』
○『リスクゼロではなく、リスク軽減を』
…………………………………………………………………………

●信じられない対応
 いまさらですが、「クルーズ船下船の栃木の60代女性感染確認」というニュースを皆さんはどうとらえられたでしょうか。
 ただただあきれるばかりです。新型コロナウィルスについてはわかっていないことが多かったので断定的なことを発信することを少し控えてきました。しかし、日本中で感染者が確認される状況となっただけではなく、ウィルスを培養していると揶揄されたクルーズ船から、厚生労働省に許可もらって下船した人が、下船直後に発症し感染が確認されました。いま、日本は新型コロナウィルス感染列島になったという認識が必要です。
 そこで、本号を前倒しで発信し、「いまからできる新型コロナウィルス対策」を考えてみました。

いまからできる新型コロナウィルス対策

○資格と専門と知識は一致しない
 医師という資格を持っていても感染症が全く分かっていない人は大勢います。日本感染症学会の専門医であっても、感染症が専門と名乗っていても、感染症の治療をしていても、感染症のすべてがわかっているわけではありません。もっと困ったことに、感染症の専門家としてマスコミ等で発信している人たちの中で、データを集め、論文を多数書き、「教授」や「所長」になった方々の中には、このメルマガでお伝えする、小学生でもわかる内容を的確に説明できない方が大勢います。何より証拠に、世界が呆れた「14日間の健康観察期間後の下船」という厚生労働省関係の専門家たちの判断がなされ、現に下船後に発症する人が出ました。論より証拠です。批判はここまでにして、いまからできることを考えます。

●手洗い
 新型コロナウィルスに感染している人から他の人が感染するルート、感染経路は二つです。

1.感染している人の咳やくしゃみで、飛沫(しぶき)の中のウィルスを直接口、鼻、目の粘膜につける。

  できること
    口を開けた状態で人に合わない
    咳やくしゃみをかけられそうになったら2メートル離れる
    咳やくしゃみをかけられたら口と目を閉じ、息を20秒止めた後、顔と目を洗う
    
2.感染している人が咳やくしゃみで飛び出た飛沫の中のウィルスが落下して付着したところを触った手についたウィルスを、口の中に入れる。

  できること
    おにぎり、サンドイッチ、お菓子など、口にいれるものをつかむ前に手を洗う
    コップ、湯飲みなどのふちは触らない
    花粉症の人はマスクをする前に手を洗って装着する
    マスクを一度つけたら絶対に表面を触らない(不可能ならマスクはしない)
 
 1は「飛沫感染」の注意点です。顔の皮膚についても、そこからは感染しません。
 2は飛沫として飛び散っていろんなところに落下した飛沫の中のウィルスを手に付けて口の中に運ぶ「接触感染」の注意点です。だから感染につながる行為を行う前の手洗いが重要です。一方で、無意識の内にそれらの行為をしてしまうこともあるので、手洗いは頻回に行いたいものです。

○マスクはしない
 マスクをしている人は空気中に浮遊しているウィルスを吸い込まないためと思っていないでしょうか。とんでもない誤解です。新型コロナウィルスは空気中に浮遊しません。すなわち空気感染(飛沫核感染)ではありません。飛沫(しぶき)はすぐに落下しますので、一番の感染経路は正確に言うと飛沫として飛び散って各所に付着したウィルスとの「接触感染」です。
 手についた飛沫の中のウィルスをマスクの表面につけると、呼吸をしている内に口の中に吸い込んで感染します。だから私は「マスクはするな」と言っています。実際、マスクをしている人をよく観察してください。皆さん、無意識の内に表面を触っていますよね。子どもにマスクをつけさせる親の気がしれません。
 「咳やくしゃみをかけられたらどうするのか」と反論する人が必ずいます。では「咳やくしゃみをかけられて感染する」確率と、「無意識に手でマスクの表面を触って感染する」確率とどちらが高いかを考え、ご自分で選択してください。

●入浴
 新型コロナウィルスに限らず、世の中には様々な病原体が各所に付着しています。体外に出た新型コロナウィルスがどれだけの期間、感染力を持ち続けるかはわかっていません。しかし、いろんな状況から考えると、10日間、感染力を持ち続けている可能性が否定できません。
 そのため、外出したら手だけではなく、顔にも、衣服にも新型コロナウィルスが付着していると考えてください。でも大丈夫です、それだけでは感染しません。口や鼻を通して体内に入れなければいいのです。朝は顔を、手を洗ってから食事をします。夕食の時もそうしているでしょうが、私はいろんな患者さんが来る病院から帰った時はもちろんのこと、毎晩、入浴し、体だけではなく髪も洗い、いろんな病原体を洗い流します。その後、毎日洗ってもらっているバスタオルで体をふき、毎日洗ってもらっているパジャマに着替えてから夕食にしています。これも常識的な感染症予防対策です。

〇リスクゼロではなく、リスク軽減を
 人間が行うことなのでリスクをゼロにはできません。しかし、頻回に手洗いをすることで、100個のウィルスを10個に、1個に減らすことができれば、例えそのウィルスが体内に入ったとしても、重症化せず、もしかしたら上手に抗体だけを作って、発症も予防できるかもしれません。
 とかく日本人は「完璧」を求めますが、いまできることはリスクを一つずつ減らしていくことです。中国で、韓国で、そして日本でどうしてこんなに患者さんが増えているのでしょうか。私は「マスク」というリスクについて、多くの専門家だけではなく、市民も考えていないからだと思っています。
 「マスクをしない」リスクと、「マスクをする」リスクについて改めて考えてみてください。でも、習慣化されたことを変えることはすごく難しいのです。だから新型コロナウィルスの感染拡大が止まらないのではないでしょうか。

付録:新型コロナウィルス対策のためのYouTube

マスクで広がる!?新型コロナウィルス、インフルエンザウィルス

今からできる新型コロナウィルス対策