〜今月のテーマ『メール相談』〜 ●『いのちの大切さ』 ○『マスコミの影響力』 ●『若者は正直?』 ○『尖圭コンジローム』 ●『HIV/AIDS』 ○『クラミジア』 ●『淋病』 ○『月経と性病?』 ●『月経と妊娠』 ○『アナルセックスで妊娠?』 ●『人畜共通性感染症?』 ○『コンドーム』 ●『セックスの実際』 ○『産婦人科受診支援』 ●『こんなことも』 ○『メール相談への期待』 ◆CAIより今月のコラム 「お付き合い」 --------------------------------------------------------------------- ●『いのちの大切さ』 子どもたちが引き起こす悲惨な事件を聞いて皆さんはどう思われているのでしょうか。私は、加害者の子も被害者であり、逆にこのような社会を作っている一人ひとりの大人も加害者だと思えて仕方がありません。過激な性教育と学校現場を攻撃している人たちも、学校側を責めている暇があったら若者に街頭で純潔教育を語ったり、氾濫する性情報に、そしてコミュニケーションが取れない多くの大人たちに文句を言ってもらえませんか。 ことの本質を見極めるというのは難しいものですし、何より、若者のことを知るには「郷に入れば郷に従え」というように彼らのコミュニケーション手段も活用させてもらうことが必要なようです。今年のAIDS文化フォーラム in 横浜に出てくださる飯島愛さんがPopteenという雑誌にもっている「SEX ER」という連載でコンドームの装着法を紹介させてもらいました。そこに私のi-modeサイトのアドレスを載せ、メール相談受け付けたところ、何と来るは来るは。また内容の深刻さにビックリさせられました。 若者のことはそれなりに情報を仕入れていたつもりの私も大いに反省させられたので、今回のテーマは「メール相談」としました。送られてきた質問の概略と岩室の感想(岩:)を紹介します。 ○『マスコミの影響力』 Popteenは公称40万部の売り上げだそうです。最初は「本当?」と思っていましたが、実際にメールが来たのを体験して、そうかもと思いました。そしてこれだけの潜在ニーズがあるのに実は彼女たちが相談できる場所がないという事実もまた驚きでした。それもそうですよね。例え電話でも自分の状況を正確に伝えるのは難しい上、もし、どうしてそんなことをしたのとでも叱られたらかえって「うざったい」と思うでしょう。それに携帯で電話をするとお金がかかりますが、メールだと一回数円です。そんな状況の中で「メール相談やります」と顔も出し、一応飯島愛さん公認(?)の本物の医者が解答するのを40万部の読者にPRしたのですから利用しない手はないということになったのでしょう。 ●『若者は正直?』 「Popteenを見たと書いてメールを送れば(中略)岩室先生が直接相談に乗ってくれるよ!もちろん無料。」と載せてもらったら、本当に「Popteen見た」「Popteenを見た!」「ポップティーン見ました★」というメールが多く、「岩室先生へ Popteenを見て、メールしました。」という丁寧なのを見ると何となくほっとしていたのはおじさんだからでしょうか。 ○『尖圭コンジローム』 Q:病院で検査したらなんとかコンジロームって言われたんですけど感染経路はやっぱり相手にあるんでしょうか Q:一ヵ月前ぐらいから、まんこの下の部分にニキビみたいのが一つできてそれが最近だんだんでかくなってるみたい。痛みとか痒みはないんだけど、これは性病なのかなぁ? 岩:確かにHPV(人パピローマウイルス)が増えていると言われていますが、そのとおりですね。でも医者もコンジローマに限らず、性感染症を診療したら「相手は誰? その人も診察を受けた方がいいよ」と言わなければならないのに相変わらず言わない先生が多い? ●『HIV/AIDS』 Q:HIVの事について詳しく知りたいんですけど、最近体重も8kg減り高熱が出たりもしかしたらって思います 岩:性感染症の相談の中にHIVが当たり前のように登場するのは実はうれしいような危機的なような複雑な気持ちです。でも皆さん知っていましたか? 実は異性間の性的接触で感染した20歳代の日本人女性の数は個々何年か減少傾向にあります。啓発効果の表れか、それとも検査をうけていないのか? Q:メールありがとうございます(*>_<)! 保健所って何ですか? 岩:メールで当たり前のように「エイズ検査は保健所で匿名で無料で受けられます」と言っていますが「保健所って何ですか?」と聞くってことは「匿名って何ですか?」という質問があっても不思議じゃないんでしょうね。今日の講演から「名前を言わなくても、名乗らなくてもエイズ検査は受けられます」と言うのを徹底するようになりました。 ○『クラミジア』 Q:私は今日元カレにたまたま会い、尿すると痛いんだよね!!って言われ、おまえ性病ぢゃない??って言われ、あせったので、つい最近まで付き合ってた彼氏に尿すると痛い??って聞いたら、痛いって言われました!!? で、私は、3人の人とHをしたことがあり、みんなに聞いたら、痛いって答えられたのです。これってやっぱり性病ですかぁ?? Q:性病は、人にうつされたほかに、自然にできるって場合あるんですかぁ? 岩:クラミジアだと思いますが、元カレにたまたま会わなければどうなっていたのでしょうか。「でも男たちも痛いなら医者に行く気にならないのでしょうか」と思った方はクラミジアの症状が男でも医者に行かなくても我慢ができるくらい軽いこと、時には無症状なことを知ってください。それにしてもセックスでうつるから性病(性感染症)という単純なことを教えてあげたいものです。 ●『淋病』 Q:あたしの親友が、淋病にかかりました。あたしは、今まで9人と経験しました。去年、不正出血が続き悩みました。今は、出ないんですけどもしかしたら性病にかかってたらと思ってメールしました。あたしは、ゴムをつけないほうなのでとても心配です。 岩:あまり論理的ではない相談が多いのも事実です。結局は「ゴムつけようね」ということを強調しています。 ○『月経と性病?』 Q:今月生理が二回きました。二回目はまだ終わっていないのですが、出血は少なく10日以上続いています。最近貧血気味です。性病と関係ありますか? 岩:月に2回生理が来る人っていっぱいいるはずですが、結構月経周期の数え方をメールで伝えていると「わかりました。勉強になりました」という声が多いのにビックリ!!! ●『月経と妊娠』 Q:生理の血が出てるか出てないかぐらいの終わった感じの頃から完全に終わってからの間は妊娠しやすいですか? Q:私コンドームつけずにやって外出しだったんですけど妊娠しないか不安で… Q:安全日を教ぇて下さぃm(__)m Q:オマンコに精子入れられて綺麗にふいても妊娠しますか? 岩:何が安全か、何が危険かをもっときちんとHPに掲載し、このような質問が減る努力をしないといけないですね。「安全日はありません。外だしは中出しと同じようなものです」と繰り返し教えないと自分の行動を変えられるようにはならないようです。 ○『アナルセックスで妊娠?』 Q:アナルに入れられて中で出されました。膣と違って、妊娠はしませんか? 岩:直腸膣ろう(直腸と膣がつながっている)というのがあると確かに妊娠することがあるのかな、と真剣に考えてしまいました。アナルセックスが当たり前なんですね。 ●『人畜共通性感染症?』 Q:前に、アソコを犬に舐められました。それが原因で性病にかかってないか心配です。性病は犬からもうつるんですか?また、犬にもうつるんですか? 岩:狂牛病をはじめ、動物の病気が人にうつることが話題になっています。今後性感染症も人畜共通のものになるのでしょうか。いたずらだと言い切れない真実味があるメールと思ってしまいました。それにしてもやっぱり「本当?」 ○『コンドーム』 Q:Popteenを見て是非聞いてみたいと思ったのでメ-ルしました。コンド-ムで炎症を起こしてしまったのですが…肌にやさしいゴムってありますか?やっぱりコンド-ムはすべて一緒ですか? Q:ポリウレタン製とジェクス製の違いは何ですか?ジェクス製はどんな人向きですかねぇ? Q:クリスタルカラゲナン2000のゴムは性感染症にいいんですか?また、肌が弱いので肌に優しいゴムが欲しいのですが… Q:この前私ゴムをつけないでフェラをしてしまいました、、、それは大丈夫なんですか?フェラをするときもつけた方がいいのですか?悩んでます、、。 岩:業者さんが岩室の知識を試しているのかなと思ってしまう質問もありますがコンドームアレルギーは結構ありそうですね。啓発の際にはぜひコンドームとゼリーアレルギーのことも伝えたいものです。さらに「フェラにゴム」。これを定着したいものです。 ●『セックスの実際』 Q:Hをする度に血が絶対に出るんです。生理とかじゃなくて…初めての時は処女膜が破れたカラだと思っていたんですが、やる度なんです…恐くなってきて…どぅしてなんでしょうか? 岩:実際に性生活の詳細についての相談場所は必要ですね。確かに悩んでも相談できるところがないのも事実です。 ○『産婦人科受診支援』 Q:聞いてください!!私は今 性病の疑惑があります。症状から見て確実だと思います。でも病院に行くのは怖いし、親にだって知られたくありません。あと彼氏も何と言うか…。でも放っておくと流産や失明、不妊娠になると聞きました。こんな話 誰にも出来なくて困ってます!!どうしたらいいんでしょうか? 岩:この手の相談は多いですね。性感染症確実とわかっても医者に行きにくい気持ちもわかります。でも何回かメールをしているうちにみんな「やっぱり行きます」となるようです。自己決定できるまでの支援が大切だとあらためて感じました。 ●『こんなことも』 仕事が終わってメールチェックをすると何と同一人物から複数、多い時は10通も同じメールが届いていることがあります。携帯でメールを受信した場合、そのことをすぐに確認できますのが、そのようなメールのやり取りになれている人たちは返信がすぐないと「届いていない」と思うようです。パソコンで受けているので返事が遅い旨連絡したら相手も恐縮していました。でもそれだけ切羽詰っているということでしょうね。 ○『メール相談への期待』 40万人(も読んでいるかわかりませんが)の読者の内、1%が性感染症を持っているとすると4000人。その中で今回、飯島さんのページを読み、かつ自分では解決できず相談してみようと思う人がメールをしてきたわけですが、このような相談場所はすごく大事だと思いました。メールという相談媒体が今後若者にとって大事な手段となるのであればなんとかいい、信頼できるシステムを作りたいと思いました。CAI頑張れ。 ◆CAIより今月のコラム 「お付き合い」 私達は皆社会というものに属している為、他人との付き合いはどうにも欠かせない。例えばだんだんと少なくなりつつある習慣とはいえ、夏には暑中見舞いのハガキなど出す人も多いことだろう。 先日、ある女性グループと話す機会があった。その中で話題は彼の話からコンドームに移っていった。 Aさん: 「・・・あのね、自分でもまずいと思うんだけどね、私あんまり(コンドーム)使ってもらったことないんだ。」 Bさん: 「彼は(コンドーム)使うの嫌いなの?」 Aさん: 「そういうわけじゃないんだけど、ナシの方がいいみたいで。」 Cさん: 「じゃあ自分で買いなよ。」 Aさん: 「そうなんだけど、何か今更って感じで・・・。それにたまには使うし・・。」 話を聞いていくと、Aさんはコンドームを使わないセックスについて、罪悪感と「またやってしまった」という後悔を感じているらしい。ここまで聞く限り、Aさんはきっとその場のHな雰囲気にはまり、ついつい自分も盛り上がってしまい「コンドームないけどセックスしてしまえ」というパターンにはまっているとも解釈できる。 しかしこの後、彼女はトータルな意味でセックスに大した情熱を持っていないことが明らかになる(注: ここで誤解のないように言っておくと、彼女はベッドで「ベタベタ」したり「イチャイチャ」したりするのは好きらしい。つまり、「挿入(等)」についてが「どうでもいい」のである。) これはなぜかというと、Aさんはセックスで「イケない」からだそうだ(←彼女の自己分析による)。 「じゃあ別にセックス(この場合は「挿入」になるのだろうが)しなくていいのでは?」 ・・・こう思われる方もいると思う。 つまり、Aさんにとっていわゆるセックスの「ハイライト(=挿入)」は、「お付き合い」なのである。別にしなくてもいいけど、彼が(彼にすれば当然のことながら)したいから。普段やさしい彼(コンドーム使用率は悪いけど)への気持ちです。別に拷問て訳じゃないし。 しかし律儀なAさんのこの「お付き合い」、いろんな意味でちょっぴりリスクが高すぎる気がするのだが。 その一方で、このAさんのようなケースは少なくないことも事実だ。実際にセックスはむしろ嫌いだけどそれを言えなかったり、言ったら絶対別れることになるから言わないという人もいる。つまり恋愛感情が入ってくると、Aさんのケースを単なる「意思の弱い女の自業自得」と一蹴できないくらい様々な思惑が複雑に絡み合い、周りから見ればできて当たり前という行動をとることが難しくなるのだろう。 皆様はこの「お付き合い」、どう思われる? 「彼と話し合ってだめならそんなヤツ捨ててしまえ」と思う?ええ、私もそう思う。 でもそんな簡単に済むならこの世の中、もっと問題は少ないはずですね・・・。 K.Y(♀)