映画「BPM ビート・パー・ミニット」(第70回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞!)

映画『BPM ビート・パー・ミニット』

「きっかけ、出会い」を大切に
 1990年代初頭と言えば、岩室紳也が上司の命令で始めた性教育の延長線上にHIV/AIDSが出現し、気が付けば都立駒込病院におられた根岸昌功先生に依頼された患者さんがきっかけでHIV/AIDS患者さんの診療を手掛けるようになった頃である。敢えて「上司の命令」や「根岸先生に依頼されて」と書いたのは、決して自ら積極的に「HIV/AIDSを何とかしたい」と思ってのことではないことを、この映画の前で正直に告白する必要があると思った。ただ、出会ってからは一所懸命、最善を尽くしてきたことだけは自信を持って言える。
 一方で、きっかけや出会いがあっても、せっかくのチャンスをスルーする人たちが余りにも多いことをこの映画BPMが思い出させてくれた。それが何故なのかがわかるのが、ACT UPのメンバーが活動方針等を議論する場面だ。彼らはお互いの思いをぶつけあい、自分たちの活動の方向性を確認し合うプロセスを決して曖昧にしないし、誰か任せにしない。しかし、日本では「人は経験に学び、経験していないことは他人ごと」が浸透している。実際、HIV/AIDSの問題も、ゲイコミュニティでは積極的な啓発活動が続いているが、未だに文部科学省が認定する教科書には「同性愛」や「LGBT」といった記載はない。皆さん、他人ごと意識のままである。

「何が大切か、必要か」を考える
 若者たちがセックスでHIVに感染し続けている現実を前に、岩室紳也が当時出した結論は、「ノーセックス」か「コンドーム」だった。だからこそ学校に出かけ、「コンドームを正しく装着しよう」と呼び掛けたが、BPMの中でもあったようにバッシングの嵐に繰り返し遭遇するという体験を繰り返していた。同じようなことがもっと寛容だと勘違いしていたフランスでも起きていたことに驚くとともに、自分自身の勉強不足を反省させられた。
 1990年代に診療させていただいた患者さんは次から次へとAIDSで亡くなる状況だったが、欧米での反省を受けてか、欧米で認可された抗HIV薬の日本での認可が非常に早く、また、認可されなくても「治験」という形で、従来の認可プロセスよりかなり早くから使えるようになっていた。ただ、この岩室紳也の言葉にも当事者意識の欠落があると言わざるを得ない。死が目の前に迫っている患者さんやその家族、恋人、関係者にとって「従来の認可プロセスよりかなり早くから使えるようになっていた」というのは行政サイドの問題であって、「欧米で使えるものをどうして日本で使えないのか」、「使えないまま死んでいく者をどう考えているのか」という怒りは当然のことであった。HIV/AIDS当事者の参議院議員の川田龍平さんが今でも「いのちを守る」ことを掲げなければならない日本社会は、結局のところ、未だに「何が大切か、必要か」が考えられない社会と言わざるを得ない。
 以前の岩室紳也は「コンドームの正しい装着法を伝える」ことを最優先させていた。何故なら、当時はそう思っていたからである。しかし、今は「コンドームの正しい装着法をネタに仲間を作れ」と訴えている。何故なら、つながることを拒否する世の中になっているからである。時代と共に「何が大切か、必要か」が変わっているが、岩室紳也の講演でコンドームを取り出すとその場面が気になって拒否的な感情が喚起される人は、それ以外の素晴らしい内容が吹っ飛んでしまうようである。おそらくBPMを見た後、同じような感覚になる人は、自分自身とは違う世界を「見る」、「受け止める」、「理解する」、違う人たちと「共に生きる」力の弱さを反省して欲しい。

「共に生きる」とは
 ゲイの友人に、「ゲイのことがわからない、理解できない、受け入れられない人にどう伝えればいいか」と聞いたら、「知るより慣れろ」と教えられた。BMPの中でACT UPが繰り返し、ゲイ、薬物使用者(映画の字幕では薬物乱用者となっていたがちょっと違和感が)、セックスワーカー(字幕には売春という言葉が)への支援を訴えていたが、岩室紳也も今頃になって、すなわち2015年前後からやっと薬物使用者のことが少しわかるようになったのが現実である。「共に生きる」という言葉が繰り返し、安易に使われているが、今回の映画で「共に生きる」とは、「相手の存在を認めること」であり、「相手を受け入れる」ことではないと再確認させられた。
 一見過激な行動に出ているように見えるACT UPだが、自分が、1990年代初頭にHIVに感染していたらどのような行動をとったのだろうか。感染した時の行動を後悔し、落ち込んで、引きこもっていたのだろうか。それともカミングアウトされた赤瀬範保さん、石田吉明さん、平田豊さん、川田龍平さんたちのように行動できたのだろうか。
 いろんな考えが頭の中をよぎる、安堵もし、共感もし、反省もさせられた、おなかがすかない映画だった。


映画の内容や他の方の感想を以下に紹介します。

映画サイト
http://bpm-movie.jp/

映画紹介
http://www.cinemacafe.net/movies/27879/
http://eiga.com/movie/87195/
映画感想(北丸雄二)
http://www.kitamaruyuji.com/dailybullshit/2018/01/post_512.html
2018年1月12日

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2018年1月10日