感染予防の基本

常に立ち返りたい「感染予防の基本」

なぜ混乱が続いているのか
 新型コロナウイルス感染の拡大からすでに1年半という時間が経過しています。にもかかわらず、クラスターが、第何波が、緊急事態宣言が、まん延防止等重点措置が、自粛が・・・・・。私を含め、多くの方が悶々とした気持ちになり、ストレスを抱えておられます。なぜこのような混乱が続いているのでしょうか。
 一方で、岩室紳也の生活で変わったことと言えば、仕事が減ったことを除けば、必要以上にマスクを装着するようになったことぐらいです。生活が変わらないのは、長年、HIV/AIDSをはじめとして、様々な感染症の治療や予防啓発活動を通して「感染予防の基本」を学ばせていただいていたからです。

感染予防の基本に立ち返る難しさ
 忘れもしない1994年1月29日、FMヨコハマのスタジオでHIV(エイズウイルス)に感染していたパトリックと意気投合し、思わず握手をしていました。パトリックの手の汗が私の手に → 私の手にはささくれや傷が → 3か月後保健所でエイズ検査を受けていました。もちろん感染していなかったのですが、「なぜ感染していなかったのか」を医者のくせに、科学的に、理論的に説明できませんでした。「傷があればうつる」と言われていましたし、「汗を含めた体液にHIVがいる」なら感染してもおかしくないですよね。

ウイルスは、どこから、どこへ、どうやって
 この一言が感染予防対策の基本中の基本です。ところが、かつてのエイズ対策でも、今の新型コロナウイルス対策でも基本となるウイルスに着目せずに、「誰が、どこで、どうなった」と感染機会や感染した人、あるいはクラスターといった結果に着目しています。
 新型コロナウイルスは、人の口から飛沫、エアロゾル、唾液という形で放出され、感染する人の目、鼻、喉、肺から体内に侵入します。飛んで、落下していろんな物を介して、あるいはキスなどで直接入る場合もあります。これらのことをきちんと理解すれば自ずと予防方法が理解できます。

飛沫のサイズで名前も動きも変わる
 初期のころ、エアロゾルといった耳慣れない言葉があったため、私自身、新型コロナウイルスを正確に理解するまで時間がかかりました。飛沫も、エアロゾルも、唾液も、もとは同じで、新型コロナウイルスが周囲にまとっている水分量の違いです。新型コロナウイルスの感染予防を正確に理解する上で、「5μm」という数字はぜひ覚えてください。5μmより大きい飛沫は2メートルしか飛びません。5μm未満のものはエアロゾルと言われ、小さいものは10メートルぐらいの空間に1時間ほど留まっています。すなわち大きさの違いが飛び方も変わり、感染経路も変わることになります。
 感染予防は決して簡単ではありません。だからこそ、常に基本に立ち返りつつ、できることを一つずつ考えながら、積み重ね続けましょう。