猛暑の中、熱中症で救急搬送される人、亡くなられている人が増えています。2024年の夏も猛暑が予想される中、マスコミは、専門家は「水分をとりましょう」「塩分をとりましょう」「エアコンをつけましょう」と言っていますが、それだけでいいのでしょうか。新型コロナウイルス感染症が未だに流行を繰り返す中、「マスク」「手洗い」「換気」しか言わない、言えない専門家たちの正解依存症の繰り返しのように感じているのは私だけでしょうか。
必要な水分量は
運動をしていなくても1日500mlの汗が出ます。息をしているだけで呼気から400mlの水分が出ています。運動量や気温、エアコン等の作動状況で汗等で失う水分量は当然のことながら異なります。では一番当てになる体内の適切水分量の指標は何でしょうか。「尿量」です。もちろん計測するのが最善でしょうがそこまでしないまでも、一日に1000mlのおしっこを、すなわち最低でも3回ぐらい排尿し、かつ1回の尿量がそれなりに出て、出た尿がいつもより濃くないことを確認しましょう。ここを読んで、自分の尿の濃さを確認していなかった方、ぜひ注意してください。さらに朝起きた時にトイレに行きたいと思わない人は夜の内に脱水になっている可能性があるので朝食でしっかり水分をとりましょう。
必要な塩分量は
体の機能を維持するため、1日に最低でも8gの塩分が必要です。日本人は昔から塩分の過剰摂取のため、塩分は制限しなければならないという発想になっている大人が多いと思います。しかし、高血圧予防と熱中症予防はある意味相反することになります。高齢者は熱中症になりやすいので夏場は熱中症予防対策をしっかり実践し、塩分制限は猛暑が過ぎてから実践してください。
汗を1リットル多くかくと3gの塩分が失われると言われています。尿量を維持するために水分を1リットル余分にとった人は、塩分も3g余計にとる必要があります。「大丈夫、スポーツ飲料を飲んでいるから」と思っていないでしょうか。
スポーツドリンク1000mlだと塩分は1g前後です。アクエリアスは0.8g、ポカリスエット1.2gです。ブルボン塩飴1粒は0.1g、カバヤ塩分チャージタブレッツは1粒0.119g。パン一枚は0.6g。味噌汁は1.5g、カップ麺4.9gです。ちなみにこの原稿を書いていた時に食べたマクドナルドのエッグマックマッフインは1.6gでした。このような数字を考えながら、朝食を取ることが大事だということがわかると思います。
忘れてはならないカリウム
熱中症の患者さんを診察していると低カリウム血漿の方が少なくありません。カリウムは筋肉の働きを助ける機能があるので、あまり失われない方向で調整がされていますが、失われると、不足すると痙攣や筋肉痛が出たりするので積極的に摂取することが重要です。
スポーツドリンク500mlだと(アクエリアス:40mg)(ポカリスエット100mg)。ブルボン塩飴(1粒24mg)、カバヤ塩分チャージタブレッツ(1粒15.7mg)に対して、カゴメ野菜ジュース(200ml:180~540mg)、牛乳(200ml:300mg)ですので塩分と合わせて考えると朝食に野菜具だくさんのみそ汁は合理的な熱中症予防策です。バナナは100g(中サイズ1本)で350㎎です。