「正解探し」の反対が「現実の受容」

 正解依存症の話をしていると、いろんなところで「私も正解依存症」という声をいただきます。そんな中で「正解探し」に没頭している方と出会い、いろんな気づきをいただきました。その方はとにかく「正解がないと不安」なようでしたが、興味深かったのは、結婚や子育てといったライフプランを実現するためにできることを模索されていたことでした。
 確かに今の世の中、「ライフプラン」といったことが当たり前のように言われています。確かにライフプラン、人生設計を立てることは、例えば家を買うためのローンを組む際に、身の丈に合った、収入に見合った家で我慢するといった点では非常に大事な視点です。しかし、結婚や子育てといったことはそもそも計画的にするものなのでしょうか。
 少なくとも岩室紳也は何歳までに結婚をし、何歳までに子どもができ、といったライフプランを考えたこともありませんでした。こう書きながら大リーグのワールドシリーズを制覇した大谷翔平選手は高校生の時からライフプランを立てていたことが報道され、それを着実に実行、実践していることが報道されました。もちろんライフプランを立てることはご本人の自由です。しかし、それを実現できない人が多いことも承知の上で、実現できなかった時に、失敗した時にその現実を受容することも大事です。すなわち、「正解探し」の反対は「現実の受容」だと改めて思いました。
 マズローの欲求の5段階説は誤訳ですが、原文ではマズローは人が必要としていることを階層化し、最上位にself-actualizationを位置づけています。「自己実現」と誤解を生む訳にされましたが、正しくは「(自らの才能や潜在能力に応じて)できることを具現化することが必要」と言っています。そしてself-actualizationの要素の一つとして「現実の受容」を掲げています。「正解探し」をすることは全く問題はありませんが、正解が見つからない場合、自分が思い描いていた正解が実現できなかった場合、その現実が受容できるよう、いろんな関係性を広げておきたいものです。

つづく

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