正解依存症の話をすると、興味深く聞いてくださり対話が弾む方と、「それってアンコンシャスバイアスですね」と言い切られ、その時点で対話が止まってしまう方がいます。そこで改めて、正解依存症とアンコンシャスバイアスの違いを考えてみました。
アンコンシャスバイアス(unconscious bias)は名の通り、無意識の偏見、思い込みのことです。アンコンシャスバイアスは誰にでもあることなので、そのことに気づき、修正しようとすることはおそらく多くの人がしていることです。最近で言えばジェンダーバイアス、すなわち社会的、文化的に形成された男らしさ、女らしさというのはジェンダーについての理解を深めれば深めるほど、それこそ社会的、文化的に形成されたもので、生物学的な雄と雌の違いから来たものではないことが理解できます。そして社会的、文化的に形成されたものだからこそ、一定の社会や文化の中では重視される一方で、その社会や文化に違和感を持っている人は受け入れられないということもこれまた事実です。ただ様々な背景を理解した上で個人がどのような選択をするかはこれまた個人が考え、選択することです。
一方で正解依存症とは繰り返しお伝えしていますが、「自分なりの「正解」を見つけると、その「正解」を疑うことができないだけではなく、その「正解」を他の人にも押し付ける、自分なりの「正解」以外は受け付けられない、考えられない病んだ状態」です。敢えて「依存症」と名付けているのは、他の依存症、薬物依存症、アルコール依存症、ゲーム依存症、ネット依存症と言われる方々のように、日常生活に支障を来す病的な状態という意味を込めてです。
すなわちアンコンシャスバイアス(unconscious bias)も状況によっては病的になり、ある意味アンコンシャスバイアス依存症となることもあるでしょう。先日、ある依存症のイベントで依存症の専門家が、「アルコールは一日3杯を超えると依存症」とおっしゃっていたので、「岩室紳也は10杯飲むことがあるのですが、とりあえずこのイベントの間は我慢ができますが依存症でしょうか」と反論していました。ま、「病的」の定義は難しく、その方からみると「10杯飲む」という事態を病的と見ておられるのかなと思いました(笑)。