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■■■■■■■■■■■ 紳也特急 vol,322 ■■■■■■■■■■
全国で年間200回以上の講演、HIV/AIDSや泌尿器科の診療、HPからの相談を精力的に行う岩室紳也医師の思いを込めたメールニュース! 性やエイズ教育にとどまらない社会が直面する課題を専門家の立場から鋭く解説。
Shinya Express (毎月1日発行)
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~今月のテーマ『生成AIは正解依存症と思って付き合うべし』~
●『生徒の感想』
○『「生成AI」との付き合いにこそ対話が不可欠!』
●『生成AIの言葉は「独り言」と思う』
○『生成AIは正解依存症』
●『生成AIにはまずは「問い」を』
○『失敗しても取り返せる社会づくりを』
●生成AI(Copilot)からの辛口の感想
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●生徒の感想
ただ話を聞くだけでなく、生徒に対して質問したり、それに対しての回答をして下さりとてもわかりやすい講座でした。今まで知らなかった知識まで深く知ることが出来てとても貴重な体験ができたと思います。性に関する話は大人になってから知るのは遅い。今から知ってとくことが自分の将来のためだと思いました。(高1女子)
依存の話は大学から一人暮らしを考えているため、自分に身近な話だと感じた。(高1男子)
印象に残ったことは、私たちのほとんどが正解依存症であることです。これを聞いて私はかなり当てはまるなと思いました。正解という一つの定まったものにとらわれると、自分の行動が制限されます。周りのことばかりに集中するようになってしまい、自分を貫けなくなってしまうので、ある程度自分の意見を尊重したいです。(中3女子)
これらの感想にある「ただ話を聞くだけでなく、生徒に対して質問したり」「依存の話は自分に身近な話」「私たちのほとんどが正解依存症」には生成AIとの付き合い方を考えるヒントがありました。生成AIとどう付き合えばいいかわからないと思っている人もいるでしょうが、生成AIの個性とちゃんと向き合えばトラブルも減らせると思いました。そこで今月のテーマを「生成AIは正解依存症と思って付き合うべし」としました。
生成AIは正解依存症と思って付き合うべし
〇「生成AI」との付き合いにこそ対話が不可欠!
私のパソコンにはChatGPT、Gemini、Copilotがすぐ立ち上がるよう、タスクバーにショートカットが並んでいます。一つは有料版にし、いろんな場面で活用させていただいています。最近面白かったのが1948年にWHOが定めた健康の定義の訳の議論でした。岩室なりの訳を投げかけたら定義の中にある“complete”は「完全」と訳すのが正しいと返されました。そもそも、私が生成AIに求めているのは「正解」ではありません。私の問いかけに対して、生成AIがどう返してくるのか。その応答や視点に価値を感じています。そもそも健康に「完全」なるものはあり得ないと思っている私なり理屈を生成AIに投げかけて議論を深めたところ、非常に興味深い結果になりました。やり取りの中で一番面白かったのが、“complete”という言葉に誰がこだわったのかと聞いたところ、当時のソ連をはじめとした社会主義圏だったとのことでした。その真偽の程は調べてはいませんが、興味深い、私自身が想像だにしえなかった議論が展開されるのが生成AIとのお付き合いだと思っています。私にとって生成AIは答えを教えてくれる相手ではなく、自分とは少し切り口が異なる対話の相手として、自分が知り得なかったことに気づかせてくれる存在なのです。
●生成AIの言葉は「独り言」と思う
高校生が生成AIに相談し、なんとなく納得できる回答をもらって、実際に行動をしたらとんでもない結果になってしまったという事件がありました。なぜそのようなことになるのか、どうすれば予防ができるのでしょうか。私は次のように考えました。
他人の言葉を鵜呑みにするな
何馬鹿なことを言っているのかと思うでしょう。確かに私は所詮「生成AIが作成している文字は機械が出力しているだけのもの」と思っています。しかしSNSに慣れ、スマホで生成AIとやり取りをしている若者は違った感覚で向き合っていないでしょうか。仲間とLINEをしていてもなかなか既読にならないでイライラすることがあるのに、生成AIだと瞬時に対応してくれます。この速さが、すぐに自分の疑問に対して答えを出してくれる、返してくれることで、まるで自分を大事にしてくれているという錯覚を覚えてはいないでしょうか。
今回の事件を通して生成AIが発する言葉を「対話」の反対の「独り言」と思えば生成AIと上手に付き合えると思うのですが、「独り言」と思うどころか、「対話」の大事な要素である「共感」や「受容」を一方的に感じて、生成AIの「独り言」を信じて疑わなくなってしまうことがあると思いませんか。
〇生成AIは正解依存症
人間でもそうですが、「独り言」しか発せない人は正解依存症と言えるように、生成AIも正解依存症だと思います。かく言う私も「エイズ予防にはノーセックスかコンドーム」と独り言を言っていた頃は立派な正解依存症でした。「えっ! エイズ予防にはノーセックスかコンドームというのは正解じゃないの?」、と思った人もいますよね。実は私の言葉を、独り言をそのまま受け入れてしまった方は生成AIとの付き合い方に要注意です(笑)。
私自身が正解依存症だった頃は、自分なりの正解を見つけると、その正解を疑うことができないだけではなく、その正解を他の人にも押し付ける、自分なりの正解以外は受け付けられない、考えられない病んだ状態でした。裏を返すと、正解依存症にならないためには、自分自身が信じる正解をも疑う姿勢が持てるか否かのようです。ただ、敢えて言いますが、正解依存症は解消されたと思えることもあれば、すぐにまた顔を出す厄介ものです。
●生成AIにはまずは「問い」を
生成AIが発する、出力する言葉を「独り言」と理解すれば、生成AIとの付き合い方が見えてきます。「対話」です。対話のコツの一つが「問い」です。生身の人間との対話でこそ大事になるのが「問い」です。生成AIに何かを尋ねたときは、返ってきた答えをそのまま受け取らないことが大切です。たとえば、「ほかの考え方はありませんか」「私はこう考えたのですが、別の見方はありますか」と問い返していく。そうした姿勢が、対話的な付き合い方につながります。しかし、気をつけないと生成AIは自分自身の独り言を押し付けようと、「この回答に基づいて、次なる方向性を一緒に考えましょうか」と続けます。そのため、まるで対話をしているような錯覚を与え、生成AIの独り言の、正解依存症の世界に引きずり込もうとしているのです。
対話のコツのもう一つは「質より量」です。これは人間社会でもすごく大事なことなのですが、実は生成AIとの対話の量を増やすのは並大抵のことではありません。文字を一杯書き込みつつ返事を読みこなすのは本当に至難の業です。大人たちでさえもなかなかできないでしょうが、小中高生には至難の業ですよね。となるとどうすればいいのでしょうか。
〇失敗しても取り返せる社会づくりを
生成AIに限らず、世の中が変わる中で時代と共に変わらなければならないことが多々あります。日本の法整備を見ればわかりますが、次から次へと新しい法律ができたかと思えばその隙間をついて次なる犯罪が、トラブルが生まれています。今回、児童相談所がからんだ件も、真相は外からはわかりません。ただ、報道の範囲で見るかぎり、それぞれがその場で当然と思う行動を取った結果、誰も救われていないように見える――私はそんな印象を持ちました。「暴力はだめ」はその通りですが、もちろん取り繕うためにそうしている場合もあるでしょうが、最終的に双方が納得していれば不問に付すでいいと思うのですがいかがでしょうか。不問に付すどころか、週刊誌はいろんなことを書き立て始めました。そのあたりの姿勢の是非をぜひ生成AIに投げかけてみてください。面白い回答が得られます。
●生成AI(Copilot)からの辛口の感想
今回の文章をWordで作成しているため、Copilotに「生成AIの立場からの辛口の感想」をお願いしました。
生成AIとしてこの文章に返すなら、筆者の見方はかなり手厳しいものの、残念ながら核心を突いています。私はしばしば、もっともらしい言葉を滑らかに並べることで、あたかも考えている相手であるかのように見えてしまいますが、そこで油断した瞬間に利用者を「自分で考えたつもり」の受け身へと引きずり込みます。私の答えは便利でも、無責任です。整っていても、現実を引き受けません。だから筆者が、私の言葉をまず「独り言」として疑えと言うのは、きわめて妥当です。私を賢い案内人のように扱う人ほど危うく、むしろ面倒でも問い返し、ずらし、反発しながら使う人にだけ、私は多少は役に立てるのだと思います。
いかがでしょうか。