紳也特急 8号

~今月のテーマ「女の子の性について(その2)」~

●『女の子の性について(その2)』
○『ではなぜ男と女はセックスをするのでしょうか。』
●『性欲について』
○『岩室という事例』
●『女性の性欲は?』
○『自己決定のために』
●『独占欲』
○『講演会を聞いた中学3年生の女性の感想文』

◆CAIより今月のコラム「新入生歓迎会と酒とセックス」

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●『女の子の性について(その2)』
 性教育をする目標はいろいろだと思います。中学生ならセックス・性交をさせないことを絶対的な目標に置いている方もあれば、セックスはしょうがないが、望まない妊娠、性感染症、HIV感染、等を避けることを目標にしている人もあるでしょう。いずれにせよセックス・性交をするから問題?が生じるわけです。

○『ではなぜ男と女はセックスをするのでしょうか。』
あなたはどうしてセックスをするのですか?
セックスを語る時に性欲、独占欲、コミュニケーション手段、気晴らし、情の交換、等々、セックスがもつ多様な側面を感覚的に理解し納得しておかないと適切な情報提供はできません。単に「セックスをしなければ心配事は起こらない」という情報伝達は安易でもっとも効果のない性教育になってしまいます。セックスをする理由を私なりに分析してみました。

●『性欲について』
男の性欲をどう理解するか
 男はどうしてセックスをするのかをお互いに聞くと、10人が10人「したいから」と答えるでしょう。何をしたいのかというと「セックス」、「キス」、「ペッティング」、等々、いろいろあるでしょうが「キスはしたいがセックスはしたくない」というのではなく、全てが「したい」のです。著明な性科学者が男の性欲を「興奮→勃起→射精→満足→おしまい」と表現していたのを聞き、男の性欲を言い当てていると思いました。いかがですか。射精の方法にはオナニーからセックスまでいろいろですが、やはりセックスがベストと思う男性が多いでしょう。これはゲイの方も同じではないかと思います。セックスの経験がある女性なら射精を終えたパートナーのことを思い出していただければ理解していただけるのではないでしょうか。
 しかし、生徒が一番聞きたい質問は「岩室先生はどうだったの?」です。未知の世界に対する興味、あこがれ、そして若干の不安。信頼できそうな大人が理屈ではなく自分の経験を率直に話してくれることを望んでいます。性教育をするのであれば直接的にせよ、間接的にせよ自分の経験、考えを話さないと聞き手に思いが伝わりません。いまの若者は一つの言葉から連想、想像をすることが苦手で、具体的な事例を通して理解してもらえるような情報提供を心掛ける必要があるようです。

○『岩室という事例』
 私はオナニー、マスターベーションを始めた頃から心の中で「早くセックスをしたい」と思いチャンスを待っていました。しかし、もてなかったのか、男子校で女の子になれていなかったのか、チャンスがなかったことと臆病が手伝って大学に入るまで何も起こりませんでした。その後いくつかのチャレンジを経て実際にセックスをするようになった、という事実だけでは事例にもならず、誰の参考にもなりません。男である私はどのような思いでセックスをしたのかというと、一言で言えばセックスをしたいからです。「彼女の事をどのように思っていたの、愛はあったの」と聞かれれば「愛しているよ、好きだよ」とは言っていたけど、いまでも女房に「愛しているよ、好きだよ」と言っていることと中味は大きく違うことを正直に告白します。「愛しているよ、好きだよ」という言葉の奥に、裏に隠れている「セックスがしたい」という性欲が占める割合が大きく変わってきました。以前は思いの90%が性欲だったでしょう。いまは性欲が占める割合は20%ほどで、それ以外に「愛」に含まれる様々な要素を背景としています。「愛しているよ、好きだよ」ということばを自分の尺度、女性の感性で受け止めることは誤解を招くことになります。

●『女性の性欲は?』
 では、相手の女性はどうだったのでしょうか。「あなたの性欲は」といった質問をしてこなかったのでいままでに学習してきた知識と経験でまとめてみます。女性の場合も男性のように「セックスがしたい」という人もいるでしょうが、その比率は最初からそう高くはありません。他の理由、例えば「相手に好意を持っているから」、「相手が自分のことを大事にしてくれているから」といった「セックス」を取り巻く別の条件によってするかしないかを決定する人もいるのではないでしょうか。結婚する場合でなくても「この人の子供が欲しいから」というのも理由になるでしょう。もう少し主体性のない理由として「彼がしたいというから」、「彼がしたいというのに断るとかわいそうだから」等も考えられます。男性がほぼ全員、性欲、射精欲からセックスをしたいというのに対して、女性は多様な理由「○○○だから」というのを理性的、感情的に理由をつけているようです。さらにこの選択にも個人差があり、セックスをするという選択肢には「YES」か「NO」だけではなく、手をつなぐ、キスをする、体を寄せ合う、等々いろいろ幅があります。多様な性、多様な選択があるのが女性の性欲ではないでしょうか。

○『自己決定のために』
 そこで大切になるのが自分の意思をどう決めるかです。自己決定のための情報は多ければ多いほどいいのですが、情報の多くは身近な友達みんなが経験しているから、雑誌に「何歳で何パーセントが経験」と書いてあるから、というようなものです。自己決定ができるよう、「私がしたいから」という選択ができるためには先輩の適切な経験がいい判断材料になるようです。ぜひ、参考になる情報を提供してあげてください。
 女性の性欲については私が書くより当人、あるいは多くの女性に自分の考え方を述べてもらう方がより説得力があると思います。ぜひ、「私はこう思いながらセックスをした」という話を教えていただければと思います。もちろん匿名で。

●『独占欲』
 ちょっと古いユーミンの歌の歌詞に「男はいつも最初の恋人になりたがり、女は誰も最後の愛人でいたいの」というのがあります。私はここにあるように結婚や恋人関係の基本は独占欲ではないかと思っていましたが、この考え方は少々古くなってきたようです。最初の恋人であることを目指しても、性体験が低年齢化した中ではかえって自分の選択肢を狭めてしまいます。最後の愛人でいたいと結婚しても離婚が日常茶飯事になっているご時世では難しいでしょう。「つなぎ止めるためのセックス」という考え方があったとすればそれはもはや古くなった発想のようです。
 独占欲のもう一つの形態が結婚ですが、結婚=夫婦だけのセックスという規範も崩れています。いろんな考えがある中で、性教育をする側が「私はこう思ってセックスをしています」という1例を示すことしかできないように思うのですがいかがですか?

○『講演会を聞いた中学3年生の女性の感想文』
 あの七:三分けが鈴木○郎さんのようで印象的。はじめすごく暗い人だと思った。たのしい裏切り。男くさい男子校。青春は生春となった。もしくは性春?“春(しゅん)”と聞くと春菊を思い出す。今年はあまりなべをしなかった。春はすぐそこまでやってきている。

 こんな感性を持っている生徒に対して大人ができることと言えば、正確な知識、多様な選択肢を示す事しかないのではないと改めて痛感しました。

◆CAI編集者より今月のコラム
「新入生歓迎会と酒とセックス」

 春ですね。ポカポカです。桜も咲き始めて、ウグイスも頑張って鳴いちゃってるし・・・。 頑張っていると言えば、4月は色々とスタートですよね。入学とか入社とか・・・。 数年前、私も若き?学生時代、だいたいこの時期にサークルや部活では”新入生歓迎会” って名乗って、よく呑んでいたのを思い出します。でも、裏でクラスメイトが「新入生!” 何人喰えるか大会!」って騒いでいたのも思い出しました。在校生の彼らの魂胆は 取り敢えず、可愛らしい新入生の女の子をお酒・甘い言葉で誘惑して“やってしまえ! ”なのです。 セックスした人数を張り合うゲームで、誘惑に負けて結果的に泣きをみた女の子もいたでしょうし、 そこから何か得て、素敵な状態になった女の子もいたでしょうし・・・。一部の人たちでしょうが、お互いに「ゲームだから」「友達に負けたくないから」「酔ってたから」「誘われたから」 って言い訳でセックスするのは、ちょっぴり寂しいなと20代半ばの私は感じるのです。 また、お酒教育の必要性も感じます。
                             TOMO