〜今月のテーマ『若者の声が教えてくれること』〜
●『つつみがわ?』
○『形を求める』
●『名前も知らない同級生たち』
○『大人の背中?』
●『刷り込み』
○『決められない、傷つきたくない』
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●『つつみがわ?』
先生の作られたコンドームのパワーポイントを見てたら、生徒(高校3年女子)が来たので一緒に見ました。その時の生徒のリアクションが面白かったので、メールさせていただきました。
◆コンドームを財布に入れるとお金がたまるというのは迷信の場面で・・・
生徒「あぁ、アタシも財布に入れてるけどぜんぜんお金たまんなーい。ふーんハードケースに入れるんだぁ。(*^^)」
◆前の日には爪を切ろうの場面で・・・
生徒「前の日に切れって言われても、いつやっちゃうかわかんないよぉ(-_-;) 何で夜切ると親の死に目に会えなくなるのぉ?」
◆コンドームの裏表を確認の場面で・・・
生徒「えぇー、興奮してる時からでてるのぉ?やばぁ」
◆包皮が余っていない場合の場面で・・・
生徒「“つつみがわ”って何ー?」
私「「“つつみがわ”???それは“ほうひ”って読むんだよ」
そんなやりとりで、私も自分の認識と生徒の認識に大きな差があることを改めて実感したのでありました。何か自分が恥ずかしくなり反省しました。でもこんなやりとりでもやっぱりコミュニケーションは大切です。そこからお互い何かしら学ぶことがあると思います。包皮を“つつみがわ”と読んだ生徒は、岩室先生のことを“いわしつ”先生と読んでいました(^_^;)
このように岩室紳也の講演やホームページをきっかけにどのような話になったかを聞かせてもらえると、いろんな新発見があり、メールをくださる多くの方に感謝です。そこで今月のテーマは「若者の声が教えてくれること」としました。
『若者の声が教えてくれること』
○『形を求める』
「岩室先生の話を聞いて、恋愛を形で求めるようになってしまって、それがHにつながっていたことに気づきました」という感想をくれた女子高生がいました。「愛の反対は無関心」というマザーテレサの言葉は、逆に「関心」って何?ということになります。関心を持ってくれているということを形で表そうとすると、プレゼントをくれる。それも超高給なブランド物だとわかりやすい「形」です。セックスをするというのも、相手(の体)に関心があることが「形」となって表れた行為と言えます。難しいです。
●『名前も知らない同級生たち』
「最近、生徒と話をしていて気になるのは、3年生にもなってクラスメイトの名前を知らないことです。自分の席の前にいる人の名前すら知らなかったりします。3年間同じクラスで過ごしてきているのに、何で名前くらい知らないのだろう??? で、あるひとりの生徒に聞いてみると、「だって話、しないし、関係ないもん」とか、別の生徒は「別にクラスの人に興味ないもん」と答えます。『愛の反対は・・・無関心』という言葉が頭をよぎりました。
どう思いますか。人間同士のつき合い方はいろいろありますが、3年間も同じ教室にいたら少なくとも一人ひとりの名前くらいは覚えたものです。しかし、「関係ないもん」という無関心からは学びも、感動も、そして恋愛も生まれないのでしょうか。
○『大人の背中?』
はじめまして。○○高等学校の生徒です。私は、先日の講演をお聞きして感銘を受けました。内容云々よりも講演のやり方、方法でしょうか、とにかく、人間性に物凄く惹かれました。内容にはそんなに興味もなく寝ようとも思っていましたが、何故か先生がお話することがとても面白くただただ夢中でお話を聞く限りでした。ですからお聞きします。ずばり、これから世の中を生きていくには、そして貴方のような人間になるには何が必要であると思われますか?お教え下さい。
岩室:メールありがとう。私は常々、「人」ではなく「人間」であることの大切さを訴えてきました。一人で生きていける「人」はいません。私自身、多くの人に支えられ、もちろん苦しめられ、いじめられ、そして私も多くの人と関わってきた、中にはいじめてきた人もいるでしょうが、その結果として、今ここにいます。人は関係性の生き物だと思います。私が今いるのは、多くの人とつながることの大切さをいつの間にか植えつけてくれた、親をはじめとした多くの人のおかげです。その人たちに、日々感謝しています。そして、あなたも感謝です。
●『刷り込み』
今私は彼女(17才で同年齢です)が一人いるのですが以前家でセックスをしましたしかしいざセックスをした時、まだ長くしていたいのに、射精したいという意図と関係なく射精してしまいます。早漏という現象というらしいのですが、私はどうしても克服したかったのでネットで改善方法を調べました。しかし1日で治せるというものから半年で治すというもの、そしてどれも高価な有料情報な物しかなく、何を選べばよいかが分からないのです。彼女もいいよとは言ってくれるのですが、やはりそれが悔しいのです。
岩室:いろんな刷り込みにどう立ち向かうかは難しい課題です。刷り込みで社会も変わっていきます。しかし、こんな言葉もあります。『葦葦(よしあし:良悪)の中を流れて清水かな』(仙ガイ)。この悪い環境も、逆に浄化作用となることを期待しています。
私も世間の流れとは関係のない「自分の意見」を、自分で考えてみようと思います。ただ、私自身が岩室先生の存在を知る前に、既に「早漏はかっこ悪い」「包茎は治さないといけない」等という刷り込みとも言える決まり文句を長い間聞いて来ました。先生の仰る通り『周りがそうだから」という流れに乗るという事はあまり良い事ではないのでしょうし(汗)。もっと自分自身を見つめてみる事に致します。
○『決められない、傷つきたくない』
「昼食を誘い、何を食べたいかを聞くと、「お任せします。自分で決められないんです」。」
全国童貞連合の記事(2007年1月16日読売新聞)に出てくる会長さんの言葉です。そこで紹介されている「花婿学校」では「女性と何を話していいかわからない」という悩みに、「傷ついてもいいじゃないですか、思い切って一歩踏み出してみてください」といい続けているという。
自分で情報を集め、自分で考えて、自分で決めて、自分で行動すると、その結果についてはすべて自分が責任を取らなければなりません。でも、傷つきたくないと情報を集めない(同級生の名前も覚えない)、自分で考えない(ネットの情報を鵜呑みにする)自分で決めない(食べるものも人任せ)、自分で行動しない(童貞連合)という人もいます。
私に送られてくるメールの中には、「答え」を求め、「判断」をゆだねるものも少なくありません。しかし、多くの人は私の「最後に決めるのはあなた」というスタンスを取り続けていると、「そうですね」と変わっていけるようです。寄り添い、支え、そして最後は独り立ちできるように関わり続けたいですね。