HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンが再び若年女性の定期接種の対象となりました。一方で、本当に必要な情報が届いていません。
HPVと子宮頸がんの関係や、ここに書かれている以外のHPVワクチンのことは厚生労働省のホームページを含め、多方面で記載されていますので、そちらを参照してください。
ここでは泌尿器科医、公衆衛生医の立場からHPVと、HPVワクチンとどう向き合うかについての情報を提供します。
HPVは男性のペニスを含めた皮膚に常在するウイルス。
真性包茎(包皮を引っ張っても亀頭部を露出できない状態)の男性はHPVが原因である陰茎癌になる確率が高いのは泌尿器科医の常識。
仮性包茎であっても、むいて洗って清潔にしている人は陰茎癌のリスクほぼない。
HPVは陰茎がんだけではなく、肛門がん、外陰がん、咽頭がん、尖圭コンジローマなどの原因でもあります。
HPVはセックスをしていない女性の子宮頚部には感染していません。
ここまでの話でお判りいただけたと思いますが、女性の子宮頸がんの原因となっているHPVは主にペニスと膣を使ったセックスで男性の亀頭部にあるHPVが女性の子宮頸部に運ばれます。
ウイルス感染対策の基本
ウイルスは、どこから、どこへ、どうやって
を常に意識しましょう。
男たちが意識したいこと
女性がHPVに感染して子宮頸がんになる原因のほとんどが「男」。
パートナーの子宮頸がん予防のためにも必ずコンドームを。
子どもをつくる際にはペニスをゴシゴシ洗ってから。
→もちろんコンドームなしでする時も。
女性がHPVをもらわない方法は
→セックスをしない
→最初から最後までコンドームを使用
ただし、指や露出した皮膚に付着していたHPVがコンドームに付着することも
コンドームを触る前の手洗いも大事
コンドームなしでHPV感染が起こるというデータ
コンドームなし、あるいは中途半端な使用でセックスをすれば妊娠します。
その際に当然のことながらHPV感染も起こります。
同世代の10~19歳の人工妊娠中絶率の推移と、25~29歳の子宮頸がん罹患率を比較してみました(グラフをクリックすると動画が出ます)
若い世代の子宮頸がんは今後急増すると脅している人がいますが、データを正確に紐解いていただきたいものです。
HPVワクチンの定期接種が小学6年~高校1年生相当の女子となっていることの問題点
ワクチンの効果には様々な情報がありますが最大でも10数年。
それ以降も効いているという意見が多いようですが定かではありません。
小学6年(12歳)で接種し、はじめてのセックスが25歳だと効果が切れている?
既に9価ワクチンが認可されているのに、2022年3月時点では4価で実施予定。
4価ワクチンは9価ワクチンと比べカバーするHPV型が25%少ない。
2022年3月時点で、セックスをしていない大多数の女子に対して、4価ワクチンの接種を急ぐ理由が見当たりません。
さらに理想を言うと、個人に接種券を配布し、個人の判断で接種時期を決めるのが一番です。この意見に対しては接種率が下がるという意味で反対意見が多いのですが、「個人の権利」の裏返しが「個人の責任」ではないでしょうか。
定期接種を開始するにあたって、次の情報提供(性教育)は不可欠
1.HPVはセックスで感染する。
→このことを伝えないで子どもたちに接種しないでください。
2.子宮頸部にHPVが付着するのは男性の亀頭部からがほとんど。
3.男性は亀頭部をゴシゴシ洗うことでパートナーに渡すHPV量を減らせる。
4.コンドームを使用することでHPVを渡すリスクを減らせる。
5.コンドームを使用する前に手を洗うこと。
6.HPVワクチンはあくまでも上記注意を理解した上で、セックスをする前にすることが基本。