紳也特急 150号

~今月のテーマ『女子高生のセックスは義務?』~

●『メルマガは義務か?』
○『義務と権利』
●『セックスが義務になった女子高生』
○『関係性に学ぶ』

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●『メルマガは義務か?』
 今回のメルマガが何と150通目となりました。めでたいというか、よく書いてきたというか。でもどうして書いているんだろうと思うことがたびたびあります。メルマガに原稿料が付いてくるのであれば義務と同時に150回×○○円でいくらという計算もできるのですが、そうではないし・・・・・。ただ、講演先で「メルマガ読んでいます」とか、印刷して職場で回覧してくださっている方がいると聞くとやはり続けなければという気にもなります。
 また、おかげさまで若者との交流に限らず、幅広く活動をさせていただいている関係で、いろんな経験をさせてもらっているので、それを少しでも紹介したいという思いもあります。最近はFacebookやTwitterといった簡便な情報発信、共有ツールがあるので、あっちにも書き、こっちにも書きという感じになっているのも事実です。ただ、メルマガは自分の頭の中を月に1回はリセットし、いま、何が大事なのか。いまやっている仕事や活動の意味は何かを考えるいい機会になっていることも事実です。
 先月号で書かせてもらったように、どうも同じ言葉を使っていても高校生と私ではその意味や重みが全く異なることをたびたび経験しています。先日高校生とメールをしていて「義務」という言葉でやはり混乱がありました。その女子高生曰く「彼氏とのセックスは義務」だというのです。
 そこで今月のテーマを「女子高生のセックスは義務?」としました。

『女子高生のセックスは義務?』

○『義務と権利』
 昔。そうなのです。56歳にもなると自分が思い出す場面というのは高校生からすると自分の誕生前の話、すなわち「昔の話」になります。私の記憶もあいまいですが、おそらく高校生だった頃に「権利と義務」と言ったことを議論した覚えがあります。権利を主張するのはいいんだけれど、「権利を主張するからにはちゃんとあなたの義務も果たしましょうね」といったことを言われ続けたように記憶しています。
 そう言えば、年金という「権利」は絶対に死守したいけど、納税という「義務」は極力小さくしたいという権利を主張する人たちにすり寄ろうとしている政治家たちが多い日本なのであまり若者たちのことを責められないと思います。消費税が5%上がると皆さんの出費はどれだけ増えますか?毎月10万円の買い物をしている人で5000円、年間で6万円。確かに痛いのですが、消費税アップで将来もらえる年金が破たんしなければと考えると増税も仕方がないようにも思えます。いやいや消費税はいずれ20%(年間18万円増税)になるというかもしれませんが、それで年金が確保できるならやはりそれもありかなと思いますがいかがでしょうか。
 もっと無駄をけずれ。公務員を減らせ。という声も聞きますが、公務員を減らした結果、被災地の復旧、復興は本当に進んでいません。確かにどの組織にもとんでもない人、給料泥棒と言いたい人はいますが、どんな集団でも一定割合、そのような人がいます。ただ、それが、多様な人がいるのが「社会」ではないでしょうか。

●『セックスが義務になった女子高生』
 講演を聞いた女子高生から次のようなメールをもらいました。

A子:先生、全員が全員じゃないと思うんですが「男は体目当て」と印象がついてしまっています。だから「好きだ」と言われても素直に受け止められません。

 確かに男は体目当ての所があります。この女子高生がそう思っていることで自分の身を守っているのはいいことでしょうが、一方で恋愛に積極的になれないという悩みを持っています。そう聞くと多くの大人たちは「セックスをしたくないならしなければいい」とあっさり切り捨てるでしょうが、本人にとってはそう簡単ではありません。相談してきた女子高生にあなたにとって「彼氏とのセックスはどういうものですか?」と聞いたところ次のようなびっくり返事が来ました。

A子:私は「義務」という感じがします。付き合ったら一緒に帰って遊んでデートして、手をつないで。それからキスしてエッチして。必ずしなきゃいけない義務という感じです。だって「しない」と言ったら「付き合っている意味がない」と彼氏は思うと思います。

 このメールをもらった私はしばらく頭の中が凍ってしまいました。同じ学校の生徒なら確かに付き合っていたら一緒に帰るでしょうし、遊んでデートもするでしょうし、雰囲気が盛り上がれば手もつなぐでしょう。もちろん、しばらく付き合って本当に好きだなと思ったらキスもするかもしれないし、状況に応じてはエッチにまで発展する人たちもいるでしょう。しかし、遊んでいる間に別れたり、手をつないだもののどことなく違和感を感じて嫌になったり、キスの求め方が気に入らず振ったりと、エッチに至るまでにかなりのハードルがあると思う私は古い人間なのでしょうね。でも相談者の彼女は『必ずしなきゃいけない義務という感じです。だって「しない」と言ったら「付き合っている意味がない」と彼氏は思うと思います』と考えている。「エッチをしなければ付き合っている意味がない」というのは彼氏の論理であり、それこそそんな男はさっさと振っちゃいなさいと言いたいですよね。

○『関係性に学ぶ』
 でも、このような思考パターンになっている彼女に偉そうに正論ばかりの指導をしても彼女の心に響かないばかりか、それこそ相談が途切れる可能性があります。一応次のように「付き合いは「義務」ではありません。「お互いを確認する過程」でしかありません。どうしてそう思ったのでしょうね」とやんわりと書きながら、「友達はどう思っているか、あなたの考えをまず話してから聞いてみてください」と付け加えたら次のような返事でした。

A子:聞きました。彼氏がいる二人に。私が「彼氏と付き合って、デートして手つないでキスしてエッチして。なんだか義務的で強制的じゃない?絶対しなきゃいけないみたいな感じなんだよね。私の考えはね」と話したら納得と理解してくれました。友達二人も心の中では同じことを思っていました。ある友達の彼氏は「俺の友達はもうキスしたみたい。周りも。だから俺達もしないと。周りに負けたくない。」という考えがあると聞きました。周りがしているからキスしなきゃ、と。友達も「別にしたくないのになんでしなきゃいけないのかわからない」と。それが嫌だと。
 友達に「好きなの?」と聞いても「んー、わからない」と言われます。話を聞いて「付き合っている意味ってあるのかな?好きで付き合っているんだよね?なんだか彼氏のやりたいほうだいみたい」だと思いました。

 こうやってちゃんと考えるようになった彼女に友達の話を聞いて自分を振り返ってもらうと、次のような返事でした。

A子:私が思うには「友達より先に彼氏を作る」のが目的だと思います。「彼氏がほしいから」だから付き合うんだと思います。彼氏ができたらなんだかみんなから羨ましがられたり、みんなよりちょっと上の立場に立ったような気がするからだと思います。

 彼氏が欲しいだけ。その彼氏をつなぎとめるためにエッチもする。でも自分は本当はしたくない。友達と話すことで彼女も気が付いたようです。やっぱりコミュニケーションが大事ですね。でも友達同士だと残念ながらここまでの会話に発展しない。だから大人が「こう質問してみたら」といったアドバイスをするような異世代間交流が求められているのかもしれません。皆さん、もっと若者と関わりましょう。