紳也特急 61号

〜今月のテーマ『教科書の中のエイズ』〜

●『AIDS文化フォーラム in 横浜で過去最高の参加者数』
○『学習指導要領』
●『小学校の教科書のエイズ』
○『小学校の限界』
●『中学校の教科書のエイズ』
○『同じ学習指導要領の元でも違いがある』
●『高校の教科書の中のエイズ』
○『高校生には考える題材を』
●『みんなで教科書を読もう』

◆CAIより今月のコラム
「禁断の・・・」

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●『AIDS文化フォーラム in 横浜で過去最高の参加者数』
 8月6日(金)から8日(日)の間、かながわ県民センターで第11回目のAIDS文化フォーラム in 横浜が開催されました。オープニングの飯島愛さんのセッションは立ち見どころか入場制限がかかるほどの人気でした。執筆した「夜回り先生」が寺尾聰主演のドラマ(2004年10月27日21時〜TBS系列)になった水谷修さんの講演にも立ち見の状態で、大人たちが若者とどう向き合わなければならないかを熱く語ると、目を潤ませる聴衆が少なくありませんでした。
 しかし、時の人だけが人気だったかといえばそうではなく、今回のフォーラムでは例年以上に参加者が多く、展示場も人がすれ違うのが大変な状況でした。よくエイズに対する関心が低下していると言われますが、今年のフォーラムを見る限りでは、関係者の間では今まで以上に関心、危機感が高まっているという印象でした。
 そんなフォーラムの中で私自身はあらためて「エイズ教育」ということにこだわり、いくつかのセッションを持たせてもらいました。この4月から神奈川県立津久井高校の教頭先生になられた安藤晴敏さんと一緒に行った「文科サイドと厚労サイドの連携―学校教員と地域保健担当が行う授業連携の実際」と「エイズ教育の10年を振り返る」は私自身にとっても勉強になる内容でした。そんな中で、改めて感じたのが教科書の重要性、執筆者、編集者の思いでしたので今回のテーマを「教科書の中のエイズ」としました。

教科書の中のエイズ

○『学習指導要領』
 日本の教科書が学習指導要領に沿って編集されているということは多くの方がご存知のことでしょう。しかし、10年以上も前に教科書にエイズに関する記載が載ったときは、実はエイズに関する学習指導要領の記載がなく、各出版社は独自の判断で教科書にエイズということを入れたようです。しかし、今では小・中・高校の学習指導要領にエイズのことが取り上げられていますので教科書の編纂に当たってそれを遵守することは当然のこととなります。学習指導要領を詳しく知りたい方は、インターネットの書店でも文部科学省が出している解説本を購入することができます。検索のキーワードは「小学校学習指導要領解説」「中学校学習指導要領解説」「高等学校学習指導要領解説」です。
 そのような縛りの中で編纂された最新の教科書の中からいくつかを原文のまま転載し、全体の構成、章立ても含めて紹介します。

●『小学校の教科書のエイズ』
学研の5・6年用の「みんなの保健」
3・病気の予防
2)病原体と病気
・どこから病原体が入ってくるの?
・病原体がもとになって起こる病気の予防
・エイズ
 エイズは、HIVというウイルスが体のていこう力を低下させ、そのために、いろいろな病気にかかりやすくなってしまう病気です。
 HIVのうつる力はとても弱く、また、感染している人の血液などが、きず口などから入らなければ、うつることはありません。

○『小学校の限界』
 性感染症としての感染経路を教えないことになっているなかで、「血液などが、きず口などから」と記載することで、生徒の中から『「など」というからには血液やきず口以外の感染経路は何ですか』と質問が出ても不思議ではないように作ってあるんですね。生徒からそのような質問が出た時、小学校の先生方はどのように答えておられるのか、読者の中でそのような経験をお持ちの先生はぜひ教えてください。

●『中学校の教科書のエイズ』
学研の「中学保健体育」
保健編
4.健康な生活と病気の予防
11)性感染症の予防/エイズ
1.性感染症の予防
 (前略)性感染症の予防のためには、コンドームを正しく使うことが有効です。
2.エイズ
 エイズは、HIVというウイルスの感染によって起こります。HIVは免疫の働きを低下させるので、発病するとさまざまな感染症やがんにかかりやすくなります。
 HIVは、感染者の血液や精液、腟分泌液にふくまれています。HIVの感染経路は、血液製剤や輸血、出産、性的接触などですが、現在では性的接触にほぼ限られています。したがって、エイズの予防は、他の性感染症と同様に考えればよいのです。
 エイズは、病気への偏見をなくし。患者や感染者、あるいは病気そのものと、ともに生きることのたいせつさを、わたしたちに教えてくれました。これは、エイズだけに限ったことではありません。病気や障害をもつ人とともに生き、支え合って生きていける社会をつくっていくことがたいせつです。

大日本図書の「保健体育」
4.健康な生活と病気の予防
D)エイズと性感染症の予防
1.エイズや性感染症のうつり方
 HIVは感染している人の血液、精液、腟分泌液に多く含まれています。感染する経路は、性行為による感染、血液を介しての感染、母子感染の3つになります。
 HIVや水や空気、食べ物をとおして感染することはありません。また、握手やせき、くしゃみなどでは感染しません。このように、生活のしかたに気をつければ、HIV感染者とともに生きていくことができるのです。
 性感染症は性行為ととおして感染します。しかし、感染しても、感染したことに気がつかないことがあり、感染した人が新たな感染源となるなど、社会的影響も大きいといわれています。
2.エイズや性感染症を予防するには
 エイズもふくめた性感染症の主な感染経路は性行為であり、性的接触により感染が拡大します。そのため無防備な性行為や多数の相手との性行為はしないというのが適切な選択です。また、コンドームは、正しく使えば、自分のからだの細胞と相手の体液(精液または膣分泌液)とが接触するのをさけることができるので、性感染症の感染予防のためには有効な手段です。
(この教科書には手のひらの上にのった袋から出されたコンドームの実物が写真で掲載されています)
 しかし、わたしたちにとって大切なのは、男子も女子も、おたがいの人格や立場を尊重し合う関係を保つことではないでしょうか。異性を好きになることは自然な感情です。だからといって、性行為を拒否しただけで愛情がこわれるような関係であってはならないでしょう。おたがいを大切にし、高め合えるような関係を作ることが大切なのです。

○『同じ学習指導要領の元でも違いがある』
 この2社以外にも保健体育の教科書はあり、中には中学校でコンドームの効果を「++」や「+」で表現しているのもあります。中学校でコンドームの話をする、しないを決める前に、教科書の中に書かれている内容を把握し、教科書に対する理解をより深めるためにどのような情報伝達が必要かを考えたいと思いました。

●『高校の教科書の中のエイズ』
大修館書店の「現代保健体育」
保健編
1単元 現代社会と健康
10 エイズとその予防
1.全人類の課題−エイズ−
1)エイズの現状
2)エイズ流行の原因
 HIV感染を防ぐのが困難なのは、ワクチンによる予防法や確実な治療法が確立していないためだけではありません。忘れてならないのは、エイズという病気の発病のしかたです。エイズには、感染してから発病するまでに数ヶ月から10年以上という長い潜伏期間があるため、その間に、感染者本人も気づかないうちに新たな感染者を増やしてしまうということがおこるのです。
2.エイズへの対策
1)個人の対策
 私たちが将来HIVに感染する機会は、HIVに感染している人との性行為にほぼ限られています。したがって、HIV感染を防ぐためには、感染している人との性行為を避ければよいわけですが、感染の有無は検査をしないかぎりわかりません。しかし、少なくとも、性交渉の相手が多ければ多いほど、感染のリスクが高くなることは明らかです。
 相手がHIVに感染していないことが確実でなければ、性行為をおこなわないかコンドームを用いて感染の危険性をなくすことが必要です。それと同時に、淋菌感染症、クラミジア感染症など、最近増加傾向にある性感染症の予防にもつながります。逆に、自分が感染した可能性があるなら、今後性交渉をもつ相手への感染や母子感染を防ぐため、また、早期に治療を開始するために、HIV検査を受けることも必要となります。
(1) 社会の対策
2単元 生涯を通じる健康
5 家族計画と人工妊娠中絶
1.家族計画の意義
2.避妊法とその選択
 ここではコンドームについてコンドームの実物の写真を掲載し、以下の注意が書かれています。
「コンドーム使用上の留意点」
正しくつけるために
・説明書をよく読む。
・なれていないと正しく装着することが難しいので、事前によく練習する。
正しく使用しないと失敗する
・勃起しないうちに装着すると、使用中にコンドームが外れることがある。
・性交の途中から装着すると、精液が装着前に腟内にでていることがある。
・射精後すぐにとりださないと、精液が腟内にこぼれることがある。
・つぎのような場合、コンドーム傷がついたり、摩擦によって破れることがある。
 先端の精液だめの空気を抜かない
 伸びた爪やとがった爪でコンドームを扱う
 袋からとりだすときにコンドームが袋の切り口にふれる
 財布などの不適切な場所に入れて長い間もち歩く など
3.人工妊娠中絶
考えてみよう 膣外射精は避妊法?
(前略)しかし、若者に避妊法と考えられているもののなかには、きわめて不確かな避妊効果しかないものも存在します。その典型が腟外射精です。(中略)その「避妊法」で望まない妊娠をしている女性も少なくありません。

○『高校生には考える題材を』
 高校の教科書にはかなり具体的な情報が盛り込まれています。コンドームの達人が行かなくてもいいくらいの中身が盛り込まれるようになった背景には、学校現場の危機感、ニーズがあったと考えられます。この教科書を使った授業をし、文部科学省が教師用参考資料として作成した性感染症指導用マニュアルを使えばエイズに対する理解がもっと進むことと思いませんか。
 しかし、よくみると、コンドームを詳しく扱っているのは家族計画の章です。性感染症予防にコンドームが有効であることはもちろん書かれていますが、この微妙な関係性が教育界の中でのコンドームの扱い方の難しさをあらわしています。

●『みんなで教科書を読もう』
 ここで紹介したのはほんの一部の教科書ですが、学習指導要領も社会的な関心事を踏まえながら、教科書会社も買ってもらえる、使ってもらえるか否かを総合的な見地から判断しながらエイズやコンドームについて記載するようにしています。
 私も詳しく知るまでは小学校の教科書に性感染症としてのエイズが取り上げられていないことに反発し、正確に教えるべきだと言い続けて来ました。しかし、最近の一部マスコミの論調を見るまでもなく、国民全体が一つの方向を向くこと自体が変だという視点に立てば、教科書という国が押し付けるものの中には一定のコンセンサスが得られたものしか入らないのは無理のないことだと思えるようになりました。そんな中で、小学校の教科書に「など」を入れた方の思いと努力を感じませんか。むしろこの思いをどう実際の教育現場で活かしていただけるかそして学校保健でできないことを地域保健サイドがどう補完するかが大事だと実感したフォーラムでした。
 みなさんもぜひ教科書を読んでみてください。

◆CAIより今月のコラム

「禁断の・・・」
 豚骨ラーメン、シュークリーム、たばこ、深酒、恋愛etc生活する上で「こりゃちょっと・・・まずいかな」ほとんどの場合は、まずかったな。の過去形なのですが、自制しないといけないと思っているものは快楽との裏返しなんだな〜。なんて皆さんも自分を納得させながら好き勝手楽しんでいませんか?
 先日、いつもの通りいつもの悪友と居酒屋で話しているときに、トイレにある禁断の「ボタン」の話になりました。
 ん?トイレにある禁断の「ボタン」です。想像つきますか?
私達、男子には未知の領域ウォシュレット「ビデボタン」です。
ピンク色していてスカートの女性の下からシャワーマークのあれです。
ウォシュレットが世の中に登場してからの疑問のマークでした。若かりし頃は「女の人はおしっこをしても水がでるのか・・・便利やな」なんて、うっすら考えていました。ホントに。童貞だったし。
 この年になるといい加減、意味も分かるようになりましたが、ビデボタンを押した男子の話を聞いたことがない(押す必要がないけど・・・)のです。しかし、あのボタンに魅せられて密室のなか男子には必要のないボタンを押した事がある人も必ずいるはず。人に教えるのがもったいないのかなぁ?
 きっと初めてウォシュレットで肛門に水が当たったような「あぁ〜」みたいな感覚が場所的な感じからすると前立腺を外部から刺激する感じで。。。むむ。一生涯出てこない気がするから勇気が出ないのです。
 ちなみに、私の悪友は1ヶ月くらい前にガールフレンドの母親に「トイレにあるビデボタンって何すか?」と聞いたらしいです。三十路過ぎの男が。。。
 カンボジアで会ったタケウ君。まだ元気に携帯用ウォシュレットを持ち歩きながら安宿旅行を楽しんでいますか?荷物チェックで見つかったらなんて説明するつもりですか?

しかも、インドで。。。

                             W.T