正解がないのが対話

 思春期の様々な問題に向き合っていると、斎藤環先生の「ひきこもりと対話」で紹介された言葉がすごく大きな学びになります。

●対話(dialogue)とは、面と向かって、声を出して、言葉を交わすこと。

●思春期問題の多くは「対話」の不足や欠如からこじれていく。

●議論、説得、正論、叱咤激励は「対話」ではなく「独り言」である。独り言(monologue)の積み重ねが、しばしば事態をこじらせる。

●外出させたい、仕事に就かせたい、といった「下心」は脇において、本人の言葉に耳を傾ける。

●基本姿勢は相手に対する肯定的な態度。肯定とは「そのままでいい」よりも、「あなたのことをもっと知りたい」

●対話の目的は「対話を続けること」。相手を変えること、何かを決めること、結論を出すことではない。

 このように対話には相手に押し付ける「正解」は登場しません。裏を返せば社会には「学校に行こう」「目標を持とう」「仕事をしよう」「男は男らしく、女は女らしく」「みんなと仲良く」といった多くの正解が蔓延(ばひこ)っています。
 裏を返すと、多くの人は相手を、子どもを変え、どうするかを決め、理想の結論に向かって頑張ろうとして、対話ではなく会話をするから疲れるのではないでしょうか。どうでもいい、ただのおしゃべりを重ねているうちに、自分がどうしたいのかが見えてくればラッキーぐらいの対話を重ね続けたいものです。

「賛成か反対か」では見えない正解

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