「正解依存症」カテゴリーアーカイブ

岩室紳也が考える正解依存症とは次のようなものです。

自分なりの「正解」を見つけると、その「正解」を疑うことができないだけではなく、その「正解」を他の人にも押し付ける、自分なりの「正解」以外は受け付けない、考えられない病んだ状態。

このブログでは正解依存症(correct answer addiction)がまん延している状況を考えます。

「正解探し」の反対が「現実の受容」

 正解依存症の話をしていると、いろんなところで「私も正解依存症」という声をいただきます。そんな中で「正解探し」に没頭している方と出会い、いろんな気づきをいただきました。その方はとにかく「正解がないと不安」なようでしたが、興味深かったのは、結婚や子育てといったライフプランを実現するためにできることを模索されていたことでした。
 確かに今の世の中、「ライフプラン」といったことが当たり前のように言われています。確かにライフプラン、人生設計を立てることは、例えば家を買うためのローンを組む際に、身の丈に合った、収入に見合った家で我慢するといった点では非常に大事な視点です。しかし、結婚や子育てといったことはそもそも計画的にするものなのでしょうか。
 少なくとも岩室紳也は何歳までに結婚をし、何歳までに子どもができ、といったライフプランを考えたこともありませんでした。こう書きながら大リーグのワールドシリーズを制覇した大谷翔平選手は高校生の時からライフプランを立てていたことが報道され、それを着実に実行、実践していることが報道されました。もちろんライフプランを立てることはご本人の自由です。しかし、それを実現できない人が多いことも承知の上で、実現できなかった時に、失敗した時にその現実を受容することも大事です。すなわち、「正解探し」の反対は「現実の受容」だと改めて思いました。
 マズローの欲求の5段階説は誤訳ですが、原文ではマズローは人が必要としていることを階層化し、最上位にself-actualizationを位置づけています。「自己実現」と誤解を生む訳にされましたが、正しくは「(自らの才能や潜在能力に応じて)できることを具現化することが必要」と言っています。そしてself-actualizationの要素の一つとして「現実の受容」を掲げています。「正解探し」をすることは全く問題はありませんが、正解が見つからない場合、自分が思い描いていた正解が実現できなかった場合、その現実が受容できるよう、いろんな関係性を広げておきたいものです。

つづく

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正解依存症の人が飛びつきやすいSNS

 サッカーJ1リーグのFC町田ゼルビアを知っていますか、何と2023年のサッカーJ2リーグで優勝し、今年、2024年からJ1リーグに昇格したばかりにも関わらず、一時はリーグトップに躍り出て一大旋風を巻き起こしているチームです。2024年10月15日現在、リーグ3位とまだ優勝が狙える位置にいます。そのFC町田ゼルビアが同日、「弊クラブに所属する選手、監督、スタッフおよび弊クラブに向けて誹謗中傷した者を対象に、刑事告訴をすることとなりました」というコメントを発表しました。

 内容について詳細はコメントしませんが、SNSに書き込んでいる人たちは、自分の書き込みを正義、正解と信じています。しかし、正解を押し付けた結果、傷つく人たちがいるというのは本当の意味での「正解」とは言えません。すなわち、今回、誹謗中傷と受け止められるような内容をSNSに書き込んでいる方々は正解依存症と言えるのではないでしょうか。

 改めて岩室が考える正解依存症の定義を紹介すると、「自分なりの「正解」を見つけると、その「正解」を疑うことができないだけではなく、その「正解」を他の人にも押し付ける、自分なりの「正解」以外は受け付けられない、考えられない病んだ状態」です。
よくSNSでトラブルが起こりますが、書き込む方は「何が悪い」、「正解を書き込んでいる」と思い、書き込まれた方は「とんでもない」と実はどちらもお互いの正解をぶつけ合っています。もちろん他者から見れば、それこそ「こっちが正しい」とか「あっちが正しい」ということになると思いますし、今回のFC町田ゼルビアは司法に提訴しましたので白黒が付くと思います。しかし、ここで指摘したのは「どちらが正しい」ではなく、SNSという仕組みが抱える問題点です。

 先の正解依存症の定義に「SNSを通して」という言葉を入れ込むとわかりやすいと思いました。

 正解依存症とは、「自分なりの「正解」を見つけると、その「正解」を疑うことができないだけではなく、その「正解」を SNSなどを通して 他の人にも押し付ける、自分なりの「正解」以外は受け付けられない、考えられない病んだ状態」。

 裏を返すと、リアルな関係性でのコミュニケーションだと、相手の言葉に対して「それちょっと言いすぎじゃない」とか、「違う見方もあると思うよ」と返し、返され、「確かに言い過ぎた」とか、「正解と思っていたけどそうじゃなかった」という気づきにつながります。しかし、SNSだとタイムラグの関係で書き込んだ人に書き込んだ満足感だけが残ります。気をつけたいものです。

「正解探し」の反対が「現実の受容」

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熱中症予防の正解???

 猛暑の中、熱中症で救急搬送される人、亡くなられている人が増えています。2024年の夏も猛暑が予想される中、マスコミは、専門家は「水分をとりましょう」「塩分をとりましょう」「エアコンをつけましょう」と言っていますが、それだけでいいのでしょうか。新型コロナウイルス感染症が未だに流行を繰り返す中、「マスク」「手洗い」「換気」しか言わない、言えない専門家たちの正解依存症の繰り返しのように感じているのは私だけでしょうか。

必要な水分量は
 運動をしていなくても1日500mlの汗が出ます。息をしているだけで呼気から400mlの水分が出ています。運動量や気温、エアコン等の作動状況で汗等で失う水分量は当然のことながら異なります。では一番当てになる体内の適切水分量の指標は何でしょうか。「尿量」です。もちろん計測するのが最善でしょうがそこまでしないまでも、一日に1000mlのおしっこを、すなわち最低でも3回ぐらい排尿し、かつ1回の尿量がそれなりに出て、出た尿がいつもより濃くないことを確認しましょう。ここを読んで、自分の尿の濃さを確認していなかった方、ぜひ注意してください。さらに朝起きた時にトイレに行きたいと思わない人は夜の内に脱水になっている可能性があるので朝食でしっかり水分をとりましょう。

必要な塩分量は
 体の機能を維持するため、1日に最低でも8gの塩分が必要です。日本人は昔から塩分の過剰摂取のため、塩分は制限しなければならないという発想になっている大人が多いと思います。しかし、高血圧予防と熱中症予防はある意味相反することになります。高齢者は熱中症になりやすいので夏場は熱中症予防対策をしっかり実践し、塩分制限は猛暑が過ぎてから実践してください。
 汗を1リットル多くかくと3gの塩分が失われると言われています。尿量を維持するために水分を1リットル余分にとった人は、塩分も3g余計にとる必要があります。「大丈夫、スポーツ飲料を飲んでいるから」と思っていないでしょうか。
 スポーツドリンク1000mlだと塩分は1g前後です。アクエリアスは0.8g、ポカリスエット1.2gです。ブルボン塩飴1粒は0.1g、カバヤ塩分チャージタブレッツは1粒0.119g。パン一枚は0.6g。味噌汁は1.5g、カップ麺4.9gです。ちなみにこの原稿を書いていた時に食べたマクドナルドのエッグマックマッフインは1.6gでした。このような数字を考えながら、朝食を取ることが大事だということがわかると思います。

忘れてはならないカリウム
 熱中症の患者さんを診察していると低カリウム血漿の方が少なくありません。カリウムは筋肉の働きを助ける機能があるので、あまり失われない方向で調整がされていますが、失われると、不足すると痙攣や筋肉痛が出たりするので積極的に摂取することが重要です。
 スポーツドリンク500mlだと(アクエリアス:40mg)(ポカリスエット100mg)。ブルボン塩飴(1粒24mg)、カバヤ塩分チャージタブレッツ(1粒15.7mg)に対して、カゴメ野菜ジュース(200ml:180~540mg)、牛乳(200ml:300mg)ですので塩分と合わせて考えると朝食に野菜具だくさんのみそ汁は合理的な熱中症予防策です。バナナは100g(中サイズ1本)で350㎎です。

正解依存症の人が飛びつきやすいSNS

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スティグマ、偏見、差別の根底に正解依存症

 スティグマ、偏見、差別がなぜ繰り返されるのか? 多くの人たちがこれまでも考え、対応してきました。と言いながら、岩室紳也自身、偏見や差別がなかったかというととんでもありません。今でこそ、「LGBT理解増進法は上から目線でおかしい」と自分なりの正論を述べていますが、正しく理解するまでは「ゲイは理解できない」と思ったり、それこそ「本当にゲイっているの」と思っていました。あらためてスティグマ、偏見、差別について考えさせられたのが、紳也特急299号を執筆していた時でした。
 もともと自分自身の思考パターンがシンプルなことは自覚していますが、「亀頭部と子宮頸部の長時間の、反復する接触につながる膣内射精障害はHPV感染の、子宮頸がん発症のリスクを高める」という発想になり、自分自身でも考えなかったことだったので単純にそのことを書いたところ、ただでさえ子宮頸がんの患者さんたちは疫学的な調査の結果、性交人数が多い、多産、タバコを吸う、といったスティグマを背負わされているので誤解のない表現が必要との指摘を受けました。確かにと思い少しでもスティグマが生まれない補足説明を心掛けました。
 一方で加筆修正しながら気づかされたのが、どのような情報を伝えても、その情報を曲解し、スティグマを生む方向に持っていく人が後を絶たないことです。予防医を自負している岩室は、感染症予防、疾病予防のため、あらゆる可能性を伝え、その中から自分ができることを選び、結果がどうであれ、ご自身の選択を後悔しないようにしたいものだと伝えてきました。
 しかし、スティグマを助長する人、というか社会の多くの人はそもそもそれらの予防情報に対して他人ごと意識ですし、数多ある予防情報、ある意味「正解」の中の本人にとって面白い所だけを抽出し、スティグマを助長していると思いました。すなわち、スティグマ、偏見、差別はその人なりの正解から生まれているため、本人は決して悪いこと、してはいけないことをしているのではなく、ご本人が考える正解を伝えているだけなので修正は難しいようです。正解依存症は奥が深い!?!?!?

熱中症予防の正解???

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専門家も正解依存症?

 生成AIは自分の中の矛盾に気づけないとやんわり書きましたが、実は多くの専門家と関わる中で、なぜその方々と対話にならないのか、議論にならないのかがずっと不思議でした。しかし、生成AIを利用する中で、私が接してきた多くの専門家たちと対話にならなかった、議論にならなかった理由が見えてきました。
 岩室紳也は診療面ではプライマリケア医に始まり、泌尿器科専門医、小児泌尿器科専門医、エイズ学会認定医、性感染症学会認定医といった資格を取ったり、その分野で様々な患者さんの診療をさせてもらったりしてきました。一方でその分野だけの診療や研究をされてきた先生方と比べると、その分野での私の医学知識や研究成果はとてもかないません。ただ一点、診療と研究をされている臨床医の方との大きな違いは公衆衛生分野に長年足も首も突っ込んできたことです。
 公衆衛生と聞くとピンとこないという人も多いでしょうが、私が関わってきた公衆衛生は一言で言うと「予防、健康づくり、そして現実の受容に向けた環境整備」です。人はとにかく正解を求めたがりますし、その成果がわかってもそれを実践できず、結局は健康を害してしまう場合があります。一方で正解と思って受け入れたものの、気が付けば弊害ばかりでかえって楽しいはずの人生が台無しになっている人はいないでしょうか。
泌尿器科医として以前からずっと気になってきたのがPSAが前立腺がんの早期発見になっているというのは全くの誤解だということです。詳しくはリンク先をお読みいただきたいのですが、一方で「あなたは前立腺がんです」と言われたら誰でもパニックになりますよね。私は60代で、同窓会をすれば同窓生の20%、5人に1人は前立腺がん細胞を持っています。でも、その人たちのほとんどは前立腺がんで死にません。過剰治療を受け入れて安心するのか、今の生活を大事にするのか。こんなことを「専門家」は「素人」に選択させる時代になりました。

 生成AIとのやり取りです。
 (2024年6月22日8時00分)

Q:PSA検診は受けるべきでしょうか
A:PSA検診は受けるべきでしょうか
PSA(前立腺特異抗原)検診は、前立腺がんの早期発見に役立つ可能性があるため、多くの医師が50歳以上の男性に対して定期的に受けることを勧めています。ただし、PSA検診にはメリットとデメリットがあり、それぞれを理解した上で検討することが重要です。
メリット
 1.早期発見: 前立腺がんが早期に発見されることで、治療の選択肢が増え、治療成功率が高まる可能性があります。
 2.症状のないがんの発見: 初期の前立腺がんは症状がないことが多いため、検診によって無症状のがんを発見できる場合があります。
デメリット
 1.誤陽性の可能性: PSA値が高いからといって必ずしもがんがあるわけではなく、他の要因(前立腺炎や肥大など)でPSA値が上昇することがあります。これにより、不必要な追加検査や不安が生じることがあります。
 2.過剰診断と過剰治療: 一部の前立腺がんは進行が非常に遅く、一生の間に問題を引き起こさない場合があります。これらのがんが検診で見つかり、治療されることで、治療の副作用や合併症のリスクが増える可能性があります。
結論
 PSA検診を受けるかどうかは、個々のリスクファクターや健康状態、家族歴、個人的な価値観などを考慮して決定するべきです。医師と相談し、メリットとデメリットを理解した上で、自分にとって最適な選択をすることが重要です。

 ここまでデメリットを説明してくれる専門もいるでしょうが、さらにこのデメリットについて生成AIに突っ込めば突っ込むほど、泌尿器科医の端くれの私でさえもますます突っ込みたくなる内容ばかりです。で、思ったこと。生成AIはまだ学習し、明確な答えが出せない分、こういう見方も、ああいう見方もと提示してきます。すなわち現時点における正解の数々を示し「最後はあなたが決めなさい」となります。多くの専門家も同じように「何がベストかわからないのですよ」という視点で議論、対話をしてくれればまだいいのですが、専門家こそ正解依存症になるリスクが高いと改めて思いました。なぜなら「先生にお任せ」という文化がいまだに根強く残っている日本だからです。さて皆さんはどうされますか?このような状況でPSA検診を受けますか?岩室紳也は受けません。

スティグマ、偏見、差別の根底に正解依存症

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生成AIは学習する

 生成AIは回答する時点での自分自身の矛盾には気づけないものの、一定の学習能力はあるはずです。その学習能力を確認するため前回とまったく同じ質問をしてみました。

(2024年6月22日6時00分時点)

Q:溶連菌で食中毒は起こるのでしょうか
A:溶連菌(溶血性連鎖球菌、Streptococcus)は通常、咽頭炎(喉の痛み)や扁桃炎、皮膚感染症(丹毒や蜂巣炎など)を引き起こすことで知られています。これらの感染症は、主に人から人への接触や飛沫感染によって広がります。
しかし、溶連菌が直接的に食中毒を引き起こすことは一般的ではありません。食中毒の原因としてよく知られている細菌には、大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌などがあります。
とはいえ、食品が溶連菌によって汚染される可能性は完全には排除できません。特に、感染者が食品を扱う際に適切な衛生管理が行われていない場合、食品が汚染されるリスクがあります。したがって、食品を取り扱う際には、手洗いや調理器具の衛生管理を徹底することが重要です。
溶連菌に関するさらに詳しい情報が必要であれば、医療専門家や公衆衛生当局の資料を参照することをお勧めします。

 学習しているということは、すごいスピードで、それこそこのサイトもチェックされているのかと思うと怖いような気もします。

専門家も正解依存症?

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生成AIは自分の中の矛盾に気づけない

 新型コロナウイルス(COVID-19)が蔓延し始めた頃から「感染経路対策」の重要性を訴えてきました。しかし、残念ながら多くの医者と、専門家と称する方々と対話にならない、議論にならない状況が繰り返されていました。
先のブログで私が一番基本にしている「予防に大事なのは正解ではなく、治験の積み重ね」だということがなかなか理解されないどころか、「何バカなことを言っているの」と一蹴される、全く相手にされないことでした。HIV/AIDSで言うと、「アナルセックスの際にコンドームが破れたらすぐに浣腸をして、直腸粘膜と接触するウイルス量を減らしましょう」と言ったら「どこにエビデンスがあるのか」「そのような論文はあるのか」と専門家の方にも、アナルセックスをしている方にもバカ呼ばわりされました。しかし、今ではU=Uは当たり前になり、接触するウイルス量をいかに減らすかを多くの人が模索しています。
 新型コロナウイルス感染症が蔓延する中で、私の一番の疑問は新型コロナウイルスに感染している人が会話をしている間、口から飛沫やエアロゾルが次々と排出され、もし目の前に料理、食べ物があればそこにかかり、それらを食べれば当然のことながら口の中に運ばれ、口の中には新型コロナウイルスを体内に引っ張り込むACE2レセプターが存在しているので、感染するリスクがあると考えられるのに、「新型コロナウイルスが付着した食べ物を介した感染はほぼない」とされていることでした。ところが、同じ飛沫感染と言われているA群溶連菌感染症で大規模な食中毒が起こっているにも関わらず、生成AIは「主に接触感染や飛沫感染によって広がるため、食品を介して食中毒を引き起こすことは非常に稀」と、私に新型コロナウイルス感染症で「食べ物を介した感染なんてありえない」と言い切った専門家のような回答でした。
 そこであらためて、新型コロナウイルスが食べ物を介して広がるかという疑問を生成AIにぶつけてみました。生成AIの回答(抜粋)を紹介します。

(2024年6月20日21時~)時点でのやり取りですのでもちろん生成AIはその後回答を変えていることでしょう。

Q:COVID-19が付着した食べ物を食べて感染しますか
A:現在の知見によると、COVID-19が食べ物を介して感染する可能性は非常に低いとされています。以下のポイントに基づいて説明します:
1.主な感染経路: COVID-19の主要な感染経路は、感染者の咳やくしゃみなどによる飛沫を介した飛沫感染や、ウイルスが含まれた飛沫が空気中に浮遊している場合のエアロゾル感染です。また、感染者が触れた物品を触った後、手を洗わずに顔(特に口、鼻、目)を触ることによる接触感染も考えられます。
2.食べ物からの感染リスク: 食べ物自体がCOVID-19の感染源となる可能性は非常に低いです。ウイルスは通常、消化管で感染を引き起こすことはありません。食品を介した感染が確認された事例はほとんどありません。
3.衛生管理: ただし、感染予防のためには、調理前や食事前に手をしっかり洗うことが重要です。また、食品を取り扱う際には清潔な環境を保ち、生の食材に触れた後は手を洗うことが推奨されます。
4.調理温度: 高温で調理することでウイルスは不活化されるため、通常の調理過程を経た食べ物から感染するリスクはさらに低くなります。
まとめると、COVID-19が付着した食べ物を食べることで感染するリスクは非常に低いですが、基本的な衛生管理を徹底することは引き続き重要です。

Q:COVID-19はキスでうつりますか
A:はい、COVID-19はキスによって感染する可能性があります。キスを通じて感染が広がる理由は以下の通りです:
1.飛沫感染: キスをすると、唾液や呼吸器からの飛沫が相手に直接伝わることがあります。COVID-19はこれらの飛沫を介して感染します。
2.接触感染: キスによって唾液が相手の口や鼻、目の粘膜に触れることで、ウイルスが体内に侵入する可能性があります。
3.症状のない感染者: 感染しているが症状がない、あるいは症状が軽い場合でもウイルスを他人に伝播する可能性があります。
COVID-19の予防には、感染が疑われる場合や感染リスクが高い状況では、キスなどの親密な接触を避けることが重要です。また、感染拡大を防ぐためには、手洗いや消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの維持などの基本的な感染対策を徹底することが求められます。

Q:COVID-19が付着した食べ物ではうつらないのに、COVID-19に感染した人とのキスでうつる理由を教えてください
A:COVID-19が付着した食べ物では感染しにくい一方で、感染者とのキスで感染しやすい理由は、ウイルスの感染経路と人体の防御機構の違いによります。
消化器系と呼吸器系の違い
1.消化器系の防御機構:
胃酸: 胃には強酸性の胃酸があり、多くのウイルスや細菌を殺す働きがあります。COVID-19ウイルスも胃酸にさらされると不活化される可能性が高いです。
消化酵素: 胃や腸には消化酵素が存在し、これもウイルスを分解する作用があります。
2.呼吸器系の感染リスク:
粘膜からの感染: 口、鼻、目の粘膜はウイルスが侵入しやすい部位です。キスをすると、唾液中のウイルスが直接これらの粘膜に触れるため、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。
飛沫感染: 感染者が話す、咳をする、くしゃみをする際に出る飛沫が相手の呼吸器に直接入ることで感染が広がります。
ウイルスの濃度と接触の違い
1.ウイルス濃度:
食べ物: 食べ物に付着したウイルスの量は、唾液や呼吸器から直接出るウイルスの量に比べて少ない場合が多いです。
唾液: 感染者の唾液中には高濃度のウイルスが含まれている可能性が高く、これが直接相手の口や鼻、目に触れることで感染リスクが高まります。
2.接触の程度:
食べ物: 食べ物を口に入れる際、手や調理器具を介して接触するため、ウイルスが間接的に口に入ることになります。さらに、ウイルスが胃に到達するまでに多くの防御機構を通過します。
キス: キスでは唾液が直接相手の粘膜に触れるため、ウイルスが防御機構を経ることなく直接感染しやすくなります。
これらの理由から、COVID-19が付着した食べ物を介して感染するリスクは低い一方で、感染者とのキスでは感染リスクが高まるのです。

Q:キスでCOVID-19に感染するのは口腔内にACE2レセプターがあるからですか
A:はい、COVID-19の感染がキスで広がる理由の一つは、口腔内にACE2レセプターが存在するからです。以下に詳しく説明します。
ACE2レセプターとCOVID-19
1.ACE2レセプターの役割:
・COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2は、細胞表面に存在するACE2(アンジオテンシン変換酵素2)レセプターに結合することで感染を開始します。
・ACE2レセプターは特に肺、心臓、腸、腎臓などの細胞表面に多く存在しますが、口腔内や鼻腔内、喉、消化管の粘膜細胞にも存在します。
2.口腔内のACE2レセプター:
・口腔内、特に舌の表面や唾液腺の細胞にACE2レセプターが多く存在することが知られています。
・これにより、感染者の唾液中に含まれるウイルスが相手の口腔内に接触することで、ウイルスがACE2レセプターに結合し、感染を引き起こす可能性があります。
キスによる感染のメカニズム
1、直接的なウイルス伝播:
・キスを通じて感染者の唾液が直接相手の口腔内に入ることで、高濃度のウイルスがACE2レセプターを持つ細胞に接触します。
2.粘膜の感染:
・口腔内や喉の粘膜はウイルスの侵入に対して脆弱であり、ウイルスが粘膜細胞に取り付くことで感染が成立します。
・鼻腔や目の粘膜にもACE2レセプターが存在するため、キスの際にこれらの部位にもウイルスが付着することで感染するリスクが高まります。
まとめ
ACE2レセプターはCOVID-19のウイルスが細胞に侵入するための重要な受容体であり、口腔内にも存在するため、キスを通じて感染が広がる可能性が高くなります。したがって、感染を予防するためには、感染者との密接な接触を避けることが重要です。

Q:COVID-19に感染している人とのキスで感染するのに、その人の唾液を付着させた食べ物を食べてもうつらないのはどうしてですか
A:COVID-19に感染している人とのキスで感染するのに、その人の唾液を付着させた食べ物を食べても感染しにくい理由は、ウイルスの感染経路と体内の防御機構にあります。
感染経路と防御機構の違い
1.直接接触 vs. 間接接触:
キス: キスをすると、感染者の唾液が直接相手の口腔内や喉の粘膜に触れます。これにより、ウイルスはすぐにACE2レセプターに結合しやすく、感染が成立しやすくなります。
食べ物: 感染者の唾液が付着した食べ物を摂取する場合、ウイルスはまず口腔内を通過し、その後消化器系に入ります。消化器系では胃酸や消化酵素などがウイルスを不活化するため、感染リスクが低くなります。
2.消化器系の防御機構:
胃酸: 胃は強酸性の環境であり、これにより多くのウイルスや細菌が殺されます。COVID-19のウイルスも胃酸によって不活化される可能性が高いです。
消化酵素: 胃や腸には消化酵素があり、これもウイルスを分解する役割を果たします。
3.ウイルスの濃度と接触の程度:
ウイルス濃度: キスの場合、感染者の唾液中に高濃度のウイルスが直接伝わるため、感染リスクが高まります。
食べ物: 食べ物に付着したウイルスの量は、キスによる直接的な唾液接触と比較して少ない場合が多いです。
4.粘膜の感受性:
口腔内粘膜: 口腔内や喉の粘膜は、ウイルスが直接接触することで感染しやすい部位です。キスによってウイルスが直接これらの粘膜に触れることで、感染が成立しやすくなります。
消化管粘膜: 消化管の粘膜は消化液によって保護されており、ウイルスがこれらの防御機構を突破するのは難しいです。
まとめ
COVID-19に感染している人とのキスでは、ウイルスが直接高濃度で粘膜に触れるため、感染リスクが高くなります。一方、唾液が付着した食べ物を摂取する場合、消化器系の防御機構がウイルスを不活化するため、感染リスクが低くなるのです。この違いが、キスと食べ物摂取における感染リスクの違いを説明しています。

Q:COVID-19がキスで感染する場合は口腔内のACE2レセプターが関係するのに、どうして食べ物に付着したCOVID-19は口腔内のACE2レセプターを通して感染しないのでしょうか
A:COVID-19がキスで感染しやすい一方で、食べ物に付着したウイルスでは感染しにくい理由は、ウイルスの量、接触の仕方、および口腔内と消化器系の防御機構の違いにあります。
ウイルスの量と接触の仕方
1.ウイルスの濃度:
キスの場合: キスによって感染者の唾液が直接相手の口腔内に入り、高濃度のウイルスが口腔内の粘膜に接触します。この濃度の高さが感染リスクを増加させます。
食べ物の場合: 食べ物に付着するウイルスの量は、感染者の唾液が直接口腔内に入る場合よりも少ないです。ウイルスの量が少ないため、感染リスクも低くなります。
2.直接的な接触:
キスの場合: 唾液中のウイルスが直接口腔内や喉の粘膜に触れ、すぐにACE2レセプターに結合する機会が多くなります。
食べ物の場合: ウイルスが食べ物に付着している場合、食べ物を噛む過程でウイルスが唾液と混ざり、ウイルスの濃度が薄まります。また、ウイルスが口腔内の粘膜と接触する時間も短くなります。
防御機構の違い
1.消化器系の防御:
胃酸: ウイルスが食べ物とともに胃に到達すると、強酸性の胃酸によってウイルスが不活化される可能性が高くなります。
消化酵素: 胃や腸の消化酵素もウイルスを分解し、不活化する役割を果たします。
2.口腔内の防御:
唾液の作用: 唾液には抗菌作用があり、一部のウイルスを不活化することができますが、直接的な接触や高濃度のウイルスには十分ではありません。
ウイルスの感染効率
1.ウイルスの侵入経路:
キスの場合: ウイルスが直接粘膜に接触し、ACE2レセプターにすぐに結合することで感染が成立しやすくなります。
食べ物の場合: ウイルスが口腔内の粘膜に短時間しか接触せず、多くは消化器系に移動するため、粘膜のACE2レセプターと結合する機会が少なくなります。
まとめ
COVID-19がキスで感染しやすいのは、ウイルスが高濃度で直接口腔内の粘膜に接触し、ACE2レセプターに結合する機会が多いからです。一方、食べ物に付着したウイルスは、口腔内での接触が短時間であり、胃酸や消化酵素による不活化が起こるため、感染リスクが低くなります。この違いが、キスと食べ物摂取における感染リスクの違いを説明しています。

Q:COVID-19と同じ感染経路である溶連菌感染症が食べ物を介して大規模な感染を起こしているのに、どうしてCOVID-19は食べ物を介した感染が少ないと言えるのでしょうか
A:COVID-19と溶連菌感染症は、いくつかの点で感染経路が異なり、それが食べ物を介した感染の頻度に影響を与えています。以下にその理由を詳しく説明します。
COVID-19と溶連菌感染症の感染経路の違い
1.主要な感染経路:
COVID-19: 主に飛沫感染(感染者の咳やくしゃみ、会話による飛沫)、接触感染(感染者が触れた物体表面に触れた後、口、鼻、目を触る)、エアロゾル感染が主な感染経路です。
溶連菌感染症:: 主に飛沫感染、接触感染、場合によっては汚染された食べ物や飲み物を介した経口感染もあります。
2.ウイルスと細菌の違い:
ウイルス: COVID-19はウイルス感染症であり、感染力が高いが、食べ物を介した感染は稀です。ウイルスは環境中での生存時間が限られており、消化管を経る際に胃酸や消化酵素によって不活化されることが多いです。
細菌: 溶連菌は細菌感染症であり、細菌は環境中で比較的長時間生存することができ、食品を介して感染する場合もあります。溶連菌は経口摂取後も胃酸や消化酵素に対してある程度耐性があるため、消化管を通じて感染することが可能です。
食べ物を介した感染のリスク要因
1.食品の汚染:
COVID-19: 食べ物がCOVID-19ウイルスに汚染されることは稀であり、また、食べ物を介して感染するリスクは低いです。これは、ウイルスが環境中で長時間生存しないこと、消化管で不活化されること、そして通常の食品取り扱い方法(手洗いや調理による加熱)がウイルスを減少させるためです。
溶連菌:食べ物が溶連菌に汚染されると、細菌が長時間生存し、消化管を経て感染する可能性が高くなります。特に、不適切な食品取り扱いや保存方法が感染リスクを高めます。
2.感染事例の違い:
COVID-19: 食べ物を介した感染の事例が非常に少なく、感染経路として重要視されていません。主な感染事例は、直接的な接触や飛沫、エアロゾル感染によるものです。
溶連菌: 食品を介した集団感染の事例が報告されており、食品が感染経路として重要な役割を果たす場合があります。これにより、食品を介した感染リスクが認識されています。
まとめ
COVID-19と溶連菌感染症の感染経路にはいくつかの違いがあり、それが食べ物を介した感染リスクに影響を与えています。COVID-19は主に飛沫感染や接触感染によるものであり、食べ物を介した感染は稀です。一方、溶連菌感染症は、食べ物を介した感染も報告されており、その感染経路がより広範囲であるため、食べ物を介した大規模な感染が発生する可能性があります。

このやりとり、どう思われますか?

生成AIは学習する

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生成AIは正解依存症?

 生成AIは非常に便利なツールですが、所詮人間より遥かに膨大な量の情報をdeep learningしているだけだと思っていました。しかし、このツールと付き合う中で、人間がしなければならないこと、人間だからできることが見えてきました(苦笑)。
 この前のブログで紹介したように、私自身も不勉強で認識していなかった溶連菌による食中毒についてChatGPTに質問してみました。

(2024年6月20日17時30分時点)

Q:溶連菌で食中毒は起こるのでしょうか
A:溶連菌(溶血性連鎖球菌)は、一般的には食中毒の原因とはなりません。溶連菌は主に咽頭炎(のどの痛み)や扁桃炎、皮膚感染症(例えば丹毒)を引き起こすことで知られています。
食中毒の主な原因となる細菌やウイルスには以下のようなものがあります:
 ・サルモネラ菌
 ・カンピロバクター
 ・大腸菌
 ・リステリア
 ・ノロウイルス
 ・黄色ブドウ球菌
 これらの病原体が食品に含まれている場合、食中毒を引き起こすことがあります。しかし、溶連菌はこれらとは異なり、主に接触感染や飛沫感染によって広がるため、食品を介して食中毒を引き起こすことは非常に稀です。
 したがって、溶連菌が食中毒の直接的な原因となることはほとんどないと考えられますが、感染症が疑われる場合は、医師に相談して適切な治療を受けることが重要です。

 生成AIがちゃんと学習すると溶連菌による食中毒について教えてくれる時代が来るのでしょうが、逆に言うと生成AIは現時点では自分なりの正解を見つけ、その正解を利用者にかなり断定的に「非常に稀」と言い切る、ある意味正解依存症と言えると思いませんか。

生成AIは自分の中の矛盾に気づけない

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予防に大事なのは正解ではなく、知見の積み重ね

 正解依存症の問題を考えるにあたって、いつも障壁になるのが「正解」です。新型コロナウイルス感染症を予防するには「何がベストですか、正解ですか」とよく聞かれました。しかし、これだけすれば大丈夫といった一つだけの正解があるわけもありません。予防とは様々な可能性を念頭において、できる人が、できることを、できる時に、できるようにしたことの結果です。

 いま世間を、マスコミを騒がせているのが人食いバクテリアと呼ばれている劇症型溶連菌感染症です。今の時点で、予防の観点から分かっていることを検証し、一人ひとりができる予防対策は何かを考えてみました。

劇症型溶連菌感染症が急増し、昨年の患者数をすでに6月時点で超えています。しかし国立感染症研究所のHPにも明確な予防対策は見当たりません。

 劇症型溶連菌感染症の原因となる菌は主にA群溶血性連鎖球菌Streptococcus pyogenes で、報道から、あかぎれや水虫など手足に小さな傷がある人傷口から菌が入ることで起こることが多い、といわれています。A群溶血性連鎖球菌の中で感染力が強い変異株「M1UK株」への置き換わりも感染拡大の要因と見られていますが、まだ感染拡大の理由は明確ではありません。ちなみにA群溶血性連鎖球菌咽頭炎とは学童期の小児に最も多く、次のような流行を繰り返しています(図)。


 最新のグラフを確認するには図をクリック。このグラフから、溶連菌は学校の春休み、ゴールデンウィーク、夏休み、冬休みに減っているのがわかります。

 学童期に多いA群溶連菌感染症が劇症型になった人の傷口等から侵入したのかを考える材料としてA群溶血性連鎖球菌による集団食中毒事件が参考になります。正直な所、予防医を自負している私ですが、またプライマリケア医としてA群溶連菌咽頭炎は診察してきましたが、A群溶連菌で食中毒が起こるという認識がありませんでした。しかし、次のように複数の事例が報告されています。咽頭炎を起こす食中毒、A群溶血性レンサ球菌より

 ネットで調べると大規模な食中毒事案が確認できます。1969年埼玉1997年福岡2005年相模原市2012年愛媛2013年岐阜。どの事例を見ても、調理していた人が保有していた菌を料理に散布し、それを食べた結果食中毒が発生していたようです。
A群溶連菌が飛沫感染することは良く知られていますので、感染している人が会話等をする中で飛沫を周囲に散布し、それが何らかの経路で傷口等から入ったと考えられます。

 で、傷口から菌が侵入することで起こるとされている劇症型溶連菌感染症を予防するにはどうするか? 無症状でもA群溶連菌に感染している人の飛沫がいろんなところに付着していることを前提に、その菌を皮膚の侵入口(傷、あかぎれ、水虫等)に付着させないことです。毎日風呂に入って体の清潔を保つことも有効と考えられます。ケガの後に発症したケースもあり、ケガの処置法を再確認してください。

 もし転んで、膝を擦りむき傷口から出血していたら、皆さんはどのように処置しますか?


1.傷口についた異物(砂、土、等)を水で洗い流す。異物が皮膚にすり込まれているようなら歯ブラシ等で除去する。

2.水がない場合は出ている血液で洗い流す。(献血でわかるように、貧血がない人であれば400㏄の血液を抜かれても全く問題はありません)

3.傷口から異物を取り除いたら消毒をし、傷口を清潔なガーゼ、絆創膏で覆う。この時、操作が不潔だと周囲に付着している溶連菌を傷口に着けてしまう可能性があります。

生成AIは正解依存症?

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生徒に問う、「正解依存症」という病(JBpress記事)

 いろんな学校で性教育(?)の講演会をさせていただいていますが、その取材を受ける機会は少なく、受けても内容を詳しく紹介してくださる機会はあまりありません。今回、おおたとしまささんが「男子校の性教育2.0」という本を執筆されるにあたって、駒場東邦の中学3年生対象の講演会を取材し、一部は本にも紹介してくださいましたが、それがJBpressのネット記事になりました。ここで紹介するのはそのタイトルが秀逸、かつ私の思いをそれなりに伝えていただいたからです。

「セックスするならコンドーム」の連呼やめた「コンドームの達人」が駒場東邦の生徒に問う、「正解依存症」という病

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