〜今月のテーマ『婚前旅行のすすめ』〜
●『改めて皆さんスキー・スノーボードやりませんか』
○『婚前旅行のすすめ』
●『人間ウォッチングのすすめ』
○『かわいい子には旅をさせろ』
●『人を見る目は恋人を通して』
○『我慢する力、生きる力をつけるために』
●『悩んだ後のサポートにしよう』
◆CAIより今月のコラム
「夢のナイ話」
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●『改めて皆さんスキー・スノーボードやりませんか』
新年早々、野沢温泉スキー場で滑ってきました。ところがお正月三が日にもかかわらずがら空きの状態。確かに景気が悪い(学生さんにはピンと来ないかもしれないし、公務員の方も今ひとつ実感がないかも知れませんが)、余りの惨憺たる状況でした。このままでは野沢温泉村も早晩倒産、市町村合併へと流れ込むと懸念してしまいました。そう、学生さんは公務員が将来安泰、年金生活保障付と思ったら大間違いですよ。村も(スキー場は村営)危機感があって少しでも節約をしようと、かつては30分待ちが当たり前だったトリプル(3人がけ)リフトをペア(2人がけ)に替えるなどの苦肉の策を取っていましたが、それでもゴンドラでさえも待ち時間なしという状況でした。「スキー離れは進んでいるけどボーダーはいるでしょう」と思っている人、とんでもない。ボーダーも初心者はほとんどいません。この場を借りて改めて「皆さん、今こそスキー・スノーボードを始めてみませんか。」
その野沢温泉での出来事。車中1泊、宿2泊のバスツアーで到着した結婚指輪をつけていない若いカップル。女の子は一見かわいい、男がべたぼれという二人の会話。
女性:ねえ、宿からスキー場まで歩いて行くのやだ〜。
岩室:(そんなの野沢だったら当たり前。この歩きが準備運動になって怪我をしないですむんだぞ。だいたい、宿からゲレンデに直行したければ苗場のようなプリンス系に行けばいい。十分な下調べもできないんだ・・・)
女性:板もスキー場まで担いでいくの? いやだ〜。
岩室:(じゃ、ゲレンデ近くのレンタル屋で借りるようにしておけばよかったのに。対処方法はいくらでもあるのに、彼氏任せだから後で不満が出るんだぞ。)挙句の果ては朝食時の出来事。(この宿の朝食は前日に洋食か和食かを注文しておくシステム)
女性:(アルバイトの大学生が机まで出来たての洋朝食を持ってきてから)ねえ、洋食で頼んでいたけど和食に変えてもらえない?
バイトの大学生:申し訳ありませんが今からの変更はできません(こいつ何者?と思っている様子ありあり)。
岩室:(料理人に失礼じゃないか? 万が一OKでもその洋朝食はどうなるんだ!親の顔が見たい。非常識極まりない。彼氏、別れるなら今だぞ。お前も何か言ってみろ。もっとも何も言えない男はこのまま結婚するのか? とりあえず一緒にスキーに行ってセックスができれば後で別れるのは簡単と思っているのか?)
この二人のやり取りを見ていて日頃思っていた「婚前旅行のすすめ」を今月のテーマとしました。
○『婚前旅行のすすめ』
「今さら何を言うのですか、そんなの当たり前ですよ。結婚を前提としていなくても旅行ぐらい一緒にします」という意見と「何と不謹慎な」と怒り心頭の方がおられるでしょう。ここでいう婚前旅行とは必ずしも結婚を前提にしていなくても若い二人が一緒に旅行をすることです。「婚前ならともかく、結婚を想定しない二人が旅行をするのは言語道断」と思っているあなた。ゴメンナサイ。
今回このテーマを書くのは、「生身の他人」に触れることが少なくなった現代人に、もっと生身の人間、人間の嫌な面、傲慢な面、そして我儘な面を見た上で一緒に歩んで行けるパートナーを見つけ、一緒に歩むための方法を身につけて欲しいと思ったからです。
●『人間ウォッチングのすすめ』
若い人たちに話をするには、若者の考え方、言動、感受性、等を直感的に受け止められるセンスが必要です。もし、通勤・通学電車の中でいちゃいちゃしている高校生、それもどうどうとキスをしているのを見かけたりした時に「公衆の面前で不謹慎な連中だ」と思うだけではなく、どうして平気なのか、周りが気にならないのか、気にならないとしたらどうして、と突き詰めてみてください。
若者ウォッチングにはスキー場やペンションがお勧めです。いつもはしっかり化粧をしている彼女が、朝食の時はトレーナーのまま、頭にも櫛を入れず寝ぼけ眼で朝食会場に出て行くのを見て何となくがっかりしている(とこっちが勝手に思っている?)彼氏。周りの客が楽しく話しながら食事をしているのに一生懸命話しかけても話がはずまない彼にいらだっている(とこっちが勝手に思っている?)彼女。
○『かわいい子には旅をさせろ』
この言葉を懐かしく思い出しました。今の時代にこそ「かわいいわが子には彼氏、彼女と旅をさせろ」といいたいですね。旅先で24時間一緒に(暮らして)いると、たまのデートでは見せない日常の相手の姿に触れることができます。風呂の入り方、服の脱ぎ方、食事の注文の仕方、旅行計画の立て方、さらに朝は和食か洋食か。緊張感もあれば開放感もあり、日常の自分を相手に見てもらういい機会です。旅の恥はかき捨てという言葉もありますが、このパートナーと「人生」という旅を一緒に歩んでいけるのか否かを決める大事なチャンスになると思いませんか。隠し切れない真実の姿を知って、なお相手と一緒にいたいと思えるでしょうか???
●『人を見る目は恋人を通して』
そうは言ってもなかなか人を見る目は簡単には身につきません。自分のことを振り返っても、人を見る目は年々育っているところもあれば、年々節穴になっていくところもあります。他人を非難する目を持つことは簡単ですが、自分のことを冷静に見られるようになるとあまり相手のことを責められなくなるものです。自分が一番大事な人だと思い、自分のことを一番理解して欲しい人が実は一番思い通りにならない、自分のことを理解してはくれないということを経験することで、結果的に多くのことを受容し、我慢することを覚えられます。
○『我慢する力、生きる力をつけるために』
ちょっと話はそれますが、私のおちんちん外来が始まって9年目になりました。なかなかむけなくて、1年近く通っている子もいますが長く通っている子には共通点があります。それは、最初に受診した頃は「むくと痛い」、「亀頭部をさわられるとピリピリするのが我慢できない」という「我慢の閾値・限界値」が低いことです。同じ年齢でも、我慢ができて2〜3回の通院で終わる子もいれば、最初はどんな刺激も我慢できず、すぐに泣く、大きなお子さんの場合は触ることも拒否してしまう子が少なくありません。我慢する力を子供がつけるために、医者は、親は、そして多くの大人の姿勢が重要でした。
一人の小学生を紹介します。彼は亀頭包皮炎と真性包茎で来院し、亀頭部が全く見えない状態でした。少しずつむく指導をしていたのですがちょっとでも痛いことをすると身をエビ反りにして抵抗していました。しかし、本人にとって大事な問題であり、痛いことに慣れていかなければならないこと、等々をくり返し説明し、一緒に考えていく姿勢を示すと最後は自分から積極的にむくトレーニングをするようになりました。本当に長い時間がかかりましたが、彼は我慢が出来ていない自分に気づき、その自分を少しみっともないと思うようになり、最後は我慢してでも頑張れるようになりました。このプロセスは、子供よりも私を含めた周囲の大人に子供と我慢を共有できるようになる大切さを教えてくれています。
●『悩んだ後のサポートにしよう』
〜実は性教育も同じ?〜
性教育をしていると、つい「包茎で悩まないために」、「マスターベーションで悩まないために」、「望まない妊娠をしないために」、「HIVに感染しないために」という転ばぬ先のサポート、情報提供、教育をしようと思いがちです。というか私自身がそのような姿勢でこれまで性教育をとらえていました。しかし、本当にそんな姿勢でいいの?と最近自問自答しています。世の中が余りにも予防ということに目が行き過ぎていていないでしょうか。辛い経験をすることがなければ、傷つくことがなければ本当の意味で悩み、人の痛みに気づくチャンスがなくなっているのではないでしょうか。包茎で悩むのもいい、マスターベーションをし過ぎて悩んでから「何だ、毎日してもいいんだ」と納得できればむしろそれの方がいいのではないでしょうか。一番怖いのは悩まない、悩めない人かもしれません。
もちろん、悩めばいいと言っても中には取り返しがつかないものもあります。例えばHIV感染、包茎の手術の後遺症、望まない妊娠中絶、等々。ただ、全部を回避するようにするのではなく、その加減(ここが難しいのですが)を考えながら「悩みながら生きる」ことが大事ではないでしょうか。考えるきっかけとしての「婚前旅行のすすめ」でした。
◆CAIより今月のコラム
「夢のナイ話」
毎朝6時半に携帯電話のアラームが鳴ります。7時まで10分おきに。最初のアラームを布団の中から手探りで止めると、そこからが朝のまどろみ、魅惑の二度寝タイム。
勇者は女神の甘い微笑みに誘われるまま夢の迷宮へと足を踏み入れ、昼過ぎまで帰らぬ人となるのであったムニャムニャ。。。
いっ!イカン!!眠っちゃった!!
うわ〜、もーサイアク〜。しかも、すんげー面白い夢。超大作スペクタクル、ロングバージョン。
来年の大河はコレだなって感じの。こんな長い夢、どれくらい眠っちゃったんだろう?
時刻は朝6時33分。
あれれ、たった3分だけ。3日分くらいの夢だったのに??
夢の時間と現実に経過する時間が違うことがよくあります。ビデオの早送りだって、3分では1日分も見れません。ひょっとしたら、寝ている間には夢を見ていないのかも。
夢は起きた瞬間に見たんだと思います。
目が覚めて、意識が働き出すときにひっかかった記憶の断片が夢となっていたりして。プレイバックしているつもりが、実はその場で紡ぎ出されるお話、なのかもしれません。
いま、ぼくのデスクの隣ではコンピュータを初期化中です。
長い間使ったコンピュータにはたくさんの書類が入っていましたが、はやりのウィルスで初期化を余儀なくされてしまいました。
機械も夢を?ははは、まさか手塚じゃあるまいし。
2003年4月7日。目覚めるアトムは、夢の話を語るでしょうか。
ともかく、初期化中は仕事も止まり、待ち時間となりました。
では、もうひと眠り。
目黒道人